017
はあはあと息が上がる。
ベッドに転がったまま、すべてのコトが終わって乱れた呼吸を整える。エッチをして肩で息をするなんて初めてのことで、呆然と天井を見つめた。
ふと日下さんに目をやると、俯いて両手で目を覆っていた。
「どうしたんですか?」
私は起き上がって日下さんの顔に手を伸ばした。頬が濡れていたからだ。
「ごめんなさい。やっぱり私、下手くそでしたか?」
「……いや」
「じゃあどうしてそんな悲しい顔をしているんですか?」
日下さんの目は涙で潤んで真っ赤で、困ったように眉が下がる。
「芽生」
ふいに腕が伸びてきて、私は日下さんにすっぽりと抱きしめられた。
「ごめん」
そう呟くと腕に力がこめられる。
日下さんはそれ以上何も言わず、しばらく静かに泣いていた。私は訳がわからなかったけれど、自分の腕を日下さんの背中へまわす。
「……大丈夫ですよ」
優しくなだめるように、ただ日下さんを抱きしめ返した。
密着する肌と肌はしっとりとあたたかかった。
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