02 ××のジョーカー(※破損の為、タイトルを正常に読み込めませんでした)
少女には助けてくれる人がいた。
年の離れた青年。名前はアスウェル。
何らかの理由で少女と行動を共にしていて、何とかして少女を元の家に返そうとしているらしい人間だった。
少女には記憶があまりなかった。
住んでいた家の記憶も友人、知人の記憶も、ほとんどない。
ただ名前だけはあった。
元々の名前だったのか、自分でつけたのか分からないがレインという……雨を意味する名前があった。
けれど、家を探している旅の途中に、レインは人攫いにあった。
他の子供と捕まってしまったレインは、しかし他のその子供達とは別の場所へと分けられる。
レインを捕えた者はこう言った。
「やっと手に入った。人を上手く選べば、これなら高値で売りさばけるぞ」
レインには何か他の子供達にはない別の価値がある様だった。
多くの人間が、欲しがっているのだと、
その内にレインは、ガラスケースのある部屋へと連れていかれた。
ガラス壁の向こうでは助けに来ていたアスウェルが捕まっている姿があった。
ガラスケースに駆け寄るレインに、アスウェルに刃物を突き付けた者達は言う。
「今から見せしめにこいつを殺す。こいつと同じように殺されたくなかったら、下手に出ようなどと考えずに大人しく我々の指示に従って過ごすんだ」
レインはガラスケースを壊そうと動いた。
だが、壊れない。
レインの拳は非力で、物を壊すどころか人を殴って痛みを感じさせる事すらできなさそうだった。
レインは何もできない。ただ無力だった。
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