第3話 冒険者になりました。
冒険者ギルドの中に、クレイに見つからないように入る。
すると、そこは大企業のオフィスと言った雰囲気で、広さは畳30畳近くあり突き当りにはカウンターが配置されていて冒険者ギルドの受付の女性が立っていた。
女性は、建物に入ってきた私を見てニコリを微笑むと――、「本日は、どのようなご用件でしょうか?」と、尋ねてくる。
もう夕刻も過ぎている時刻だと言うのに、務めている女性は極めて丁寧に話しかけてきた。
「冒険者ギルドで、身分証明書が欲しくて登録に来たのですけど」
「畏まりました。それでは、右手の通路を進んで頂きますと、冒険者登録を承っている部署がありますので、そちらへお進みください」
「わかりました」
私は、受付の女性にお礼を言い、右手の通路を進む。
距離的には20メートルほど。
突き当たりには部屋がありネームが立て掛けられている。
そこには、冒険者登録部署と書かれていた。
「此処みたいね」
以前、王妃教育で来た時は全ての部署を見て回る事は出来なかったので、とても新鮮。
扉をノックし室内に入る。
すると、駅の緑の窓口みたいな場所があり、カウンターでは、何人かの城下町の人が身分証明書である冒険者ギルドの証明書を作っているのが目に入ってくる。
いくつかカウンターを見て、空いている場所へと向かう。
「いらっしゃい。今日は、冒険者の登録でいいのかしら?」
「はい。冒険者の登録でお願いします」
「それじゃ、この用紙に記入してね。代筆が必要な場合は言ってね」
私は頷き用紙を受け取る。
そして、備え付けの羽ペンで文字を書いていく。
ちなみに冒険者ギルドは、日本で言う所のハローワークみたいなモノで、誰でも冒険者になる事ができる。
そして、戸籍がキチンと管理されている貴族と違って平民は基本的に戸籍が曖昧なので、冒険者登録をすることで戸籍が国から保障されるという仕組みもある。
つまり、冒険者ギルドに登録するという事は、自活の第一歩だったりする。
とりあえず、登録するときの名前は、アマーリエだと、すぐに足がつくので――、日本で暮らしていた時の名前――、神田(かんだ)恵美(えみ)から名前を取って、エミという事にする。
職業は、見習い魔術師。
得意な属性は火属性で、一応、オールマイティで全属性の魔法が使えると書き込んでいく。
書き終わったあとは受付の女性へ渡し暫く待つ。
「それじゃ、これが冒険者ギルドカードね。再発行には銅貨1枚かかるから気を付けてね」
10分ほどが経過したところで渡された冒険者ギルドカード。
それをアイテムボックスの中へ収納したあと、私は早速仕事を探すことにする。
依頼書が納められている棚の中。
そこから自分が探している仕事を確認していく。
探す依頼は、隣国までの何かしらの依頼で、すぐに出立可能な物。
「これがいいかも……」
出立まで、あと30分もないけど、何とか間に合いそう
「すいません! これお願いします!」
「エミさんね、えっと……職業は見習い魔術師……と――。はい、承諾したわよ」
「ありがとうございます」
すぐに私は待ち合わせの場所に向かう。
場所は、冒険者ギルドから少し離れた場所の大通り。
「結構、大きい商隊なのね」
そこには幌馬車が幾つも並んでいた。
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