インターステラー ー20.24.24.

監督:クリストファー・ノーラン



「愛と時間の壮大な物語」

理論でしかお目にかかったことのない世界を見てしまった。

そんな気に本気でさせてくれる1本だった。


台本を見てきっと「コレ、どうやって映像にするんだ」の連続だったろう本作は、

雰囲気ではなく、きっちりと考証された感満載の骨太設定に

家族愛や、狭小、愚かな人間模様が絡まって、

息詰まるやら切ないやらがたたみかけてくる。

くうー、と唸ること幾度か。

それでも美しすぎる映像にのまれてあっという間の3時間だった。


もう住めなくなりつつある地球から脱出するため、時間と空間を越えて新たな移住先の星を探すべく科学者たちが壮大な宇宙をさ迷う物語。


決め手でありキモでもある「愛」、もエネルギーなら科学の範疇。

この熱くも、決して舞い上がらない解釈でまとめ上げるセンスが個人的には好みだった。

あおりすぎないハンスジマーの楽曲も相変わらずヨシ。


途中、マットデイモンに、あなたどこかの星ですでに一人、サバイブしてましたよね、がダブり楽屋落ちかと疑う。

振り切った感あるAIのデザインもある意味リアリティがあり好みだった。

ともあれSF好きなら見ずには死ねない1本とお勧めしたい。



ノーラン監督は「インセプション」から大ファンとなったが、

スケール的にはこちらの作品の方が上をゆく超大作で腰が抜けた。

物理をしっかり踏襲しつつも、ここぞでファンタジー要素(愛)へ振る大胆な展開、

エンタメの混じり具合がたまらない。

ある所まで写実主義で攻めるも、その限界点で妄想(ファンタジー)要素へ切り替えることで限界を飛び越える。だが土台に写実があるため妄想(愛もエネルギーなら科学の範疇)も妙に説得力があるというやり方。

この切り替えどころが見せ場、発想の独自性、センスが現れるわけで、自身も書く時はこんな具合に華麗にキメたいと思わずにはおれないし、安直に真似したい。



全体的に画面が静かな印象のあるノーラン節が、なお宇宙の冷ややかで広大な雰囲気を後押ししているかのようで相乗効果抜群だった。

望遠鏡をのぞいているような宇宙の光景を眺めるだけでも一見の価値ありと思える。

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