14.みこ様はエロエロですが、エッチは許しません!
保田が捕まった日の夜。
いつも通りにボクの作った夕食を二人で囲んで食べた。
久々にテレビでアニメ映画を観た。なんと、みこが珍しく観たいと言い出したからだ。
『WHITE LOVE』という映画だった。
学校一美少女の女の子に大人しい感じの男の子が恋をしてしまうのだが、男の子は夢で女の子が事故死してしまう未来を見てしまう。彼女を助けたい男の子は、彼女との関係を深めていくが、彼女が亡くなるその事故は、偶然ではなくある事情によって引き起こされたものだった。実際の事故が起こるまであと48時間しか残されていないなかで、彼は彼女の仕組まれた不運な運命を目の当たりにする。彼は本当の彼女の姿を受け入れ、2日後に起こる事故を防ぐことが出来るのか…。
という話だった。
何だか、色々とヒット作をごちゃ混ぜにしたような映画にボクは思えたけど、そこそこ感動できる作品だった。
見終わった後、みこはボロボロと泣きながら、ボクにもたれてきた。
ボクはそっとみこの頭を撫でてやった。
何で急にこういうジャンルのものを観たくなったのかは分からないけど、今日起きたことは大いに影響していることは間違いないだろう。
その時だった。みこが急に訊きだした。
「どうして、雄一は、妾があやつに
「ん? ああ、あれね…」
ボクはみこを助けにいったときのことをすべて話した。
・清水さんは保田先輩に脅されてやっていた話。
・みこが攫われるときの音声データを職員室で聞いてもらい、信用を得た話。
・鍵は清水さんがマネージャーとして持っていたものを借りた話。
・ボクの直感で部室に連れていかれたと判断した話。
みこはすべてを聞き終えると、「ふぅ…」と一息ついて、
「妾もお主が助けに来てくれると信じて、あの男を煽るような行動をしていたが、正直、上手くいかなければ、自分の身を…処女を手渡していたことじゃな…」
何か途中で凄い言葉が混ざっていたようだけれど、ボクは気にせず話を続ける。
「まあ、ボクも正直間に合わなかったときのことはさすがに考えれなかったな…。何か必死だったよ」
「ちひろさんも逃げようと立ち去った感じに見えたけど、あの後、近くで先輩とのやり取りを録音していたんだね…。裏切られたかと思ってちょっとショックだったもんなぁ…」
その顔からはその時の切ない気持ちが伺える。
まあ、最終的には保田先輩の噂も知っていたからだろう。助ける方向に動いてくれたわけだが…。
ただ、清水さんもボクのことが好きだったということは意外だった。
しかも、入学当初からっていうのには驚いた。
残念ながら、鈍かったボクにはそういう素振りとかがまるで分からなかった。
「お主…知っておったか? 清水さんがお主のことを好きだったということを…」
「うーん、それも今日、本人から聞いた…」
「妾が監禁されておるときにか?」
「うん。たぶん、足止めをしようとしたんじゃないかな? みこが保田のものになれば、ボクに告白できるチャンスが来るとでも考えたんじゃないかな…」
「それはなかなか浅はかな考えじゃなぁ…」
「でも、積極的なみこを見て、ちょっと苛立っていた感じでもあるしね」
「苛立ち結構! 妾はカノジョなんだからな…」
「あはは…ま、そうなんだけどね」
「でも、彼女の発言で気になるところあったんだよねぇ…」
「ん? なんじゃ?」
「今日は諦める、て言ってたんだよね」
そういうと、みこはボクの右腕にギュッと抱き着く。
そのまま、ボクを上目遣いで見つめるみこ。
「奪わせないぞ…。雄一は妾のものじゃ…」
いや、ボクはボクのものなんだけどね…。
ボクは抗議したい気持ちでいっぱいだけど、みこの上目遣いが可愛すぎて何も言えなくなる。
「みこ、その上目遣いずるいよ…」
「ん? そうか? こういうのがお主は弱いのか?」
いや、きっと世のすべての男は弱いと思います。
グッときます。しかも、お胸も強調されてるので、薄着の今はもっとダメになります!
ボクが目のやり場を困っていると、その様子に自分の服装に気づく。
ラフなTシャツからしっかりと谷間が見えている。
「雄一……(怒)」
「ちょ、ちょっと待って!? これって明らかに事故じゃない? ボクに非があるとは思えないよ!?」
「じゃあ、妾が悪いとでも…?」
「まあ、強いて言うなら、みこのお胸が悪いってことで…」
「—————!?」
みこはボクの方に向き直り、両頬を
「そ、そんなに妾のおっぱいが見たいのか!?」
「いひゃいいひゃい! ひゃひゃら~、ひほひゃっへ~!(痛い痛い! だから~、事故だって~)」
「ふふふ…、どうした? 反省したか?」
「ひゃいひゃい、ひゃんへいひはひひゃ~!(はいはい、反省しました~)」
(ん~、何を言っておるのか分からんのぉ…)
みこは突然、頬を抓っていた手をパッと放してしまう。
ボクは抓られていることを前提に上げようとしていた非難を吐き出す。
「好きな子のおっぱいを見て何が悪いんだよ!」
「——————!?」
「あ…………しまった…」
「ほほぅ…。雄一は妾のおっぱいがそんなに見たいのか? ん~ん~?」
みこは意地悪そうな顔をして、Tシャツの胸元をヒラヒラさせながら近づいてくる。
そういうことをすると、見てしまうのが悲しい男の
チラチラと見えるみこの膨らみ…。
「ふふふ! じゃが、エッチはダメじゃぞ!」
ですよねー。
そんなに世の中、甘くない。
「ま、まあ…。妾がお主の『永遠のカノジョ』になれれば、か、構わんがな…」
みこは頬を赤らめながら、少し詰まりながら言う。
もう、可愛すぎて尊死する。
尊死しそうになるボクは何とか耐えて、そのままみこの唇を重ねた。
エッチはダメでも、別に構わない。
ボクの目の前にこんなにも可愛いカノジョがいて、その子と熱いキスを交わせるのであれば…。
みこがボクの永遠のカノジョにいつになったらなれるのかなんて分からない。
でも、そうならなくても構わない。ボクのカノジョであり続けてくれるなら…。
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