《俺、貸します》平凡だと追放された俺。実は攻撃も防御も陰で一手に担ってました。ギフト『無限変化』は全武器適性かつ大量スキル習得可!誘われたので【レンタル冒険者】始めます。天職見つけました!
第25話 高ランク魔物から激レアドロップいただきです!
第25話 高ランク魔物から激レアドロップいただきです!
「う、うわぁ!?」
サンタナの、喉を潰したような悲鳴がする。すぐあと、耳をつんざくような高音が俺の耳を襲った。
急いで外へと飛び出れば、肌に触れる空気がやけに冷たい。
その凍てつく風をこちらへ打ち付けてくるものが、上空で悠然と翼をはためかせる。
それだけで、空中に氷が精製された。
「……アイシングドラゴン…………?」
厳しく尖った氷柱が、その雄大な羽を成した巨龍だった。
サンタナのでっち上げた、偽クエストの狩りの対象であった。
ここは、ダンジョンの外れに当たるはずの場所である。本来、魔物は寄り付かないはずだが……。
その威圧感からして、本物であることは間違いなかった。
(これも、最近魔物のレベルが上がっている影響か……? それとも、サンタナが騒いだせいで寄り付いた……?)
不思議に思うが、考察を始めている場合でないのは明白だった。
凍てつく息吹を連続して放つ、アイシングドラゴン。
食らわずとも、その冷たさが脅威になるのは明白だ。
息が吹きかかった地面は、またたくまに凍りついている。
そんな危険な攻撃を、俺は『火剣』で迎え撃った。
正確に正面から当てることで一瞬にして、蒸気へと姿を変えてやる。
「ミリリ、今のうちだ。みんなを避難させてやってくれ!」
「はーい、言われなくても! ……この人はどうするの」
「サンタナも連れて行ってやってくれ。ここにいられても困るし」
そりゃあ、色々な感情が渦巻く相手である。
かといって、見殺しにするような真似はできない。
人としての話である。
それに今の彼は、武器も自信も失ってしまっていた。
変な害を被ることもなかろう。
「ふふっ、ヨシュアらしくて、とってもいいと思いますっ!」
ミリリは、オリジナルの魔法を巧みに使いこなして、三人を離れへと誘導してくれる。
おかげで、真っ向勝負の用意が整った。
幸い、アイシングドラゴンの狙いも俺一人に絞られているようだ。
こうなったらなったで、さらなる欲が出てくる。
アイシングドラゴンは早々出くわすことのないレアな竜種モンスターだ。
ならば、ドロップアイテムだって、できればたくさん欲しいよね、うん。
俺は、『火剣』を使いこなして防戦に徹する。
そうして、わざと持久作戦に持ち込んだ。辛抱強く、耐え続ける。
凍てつく息吹も、尻尾による鞭打ちも全て回避。
「……きた、『氷の針』!」
待った甲斐があったようだ。
アイシングドラゴンは、その翼を強く空気中に打ちつけ始める。
飛んでくるのは、鋭利に尖った氷の針だ。
それは羽の一枚、つまり氷龍の体の一部である。
次々に落ちてくる、『氷の針』。
もし火属性魔法で溶かすことができていなければ、あっという間に、針のむしろが完成して、身動きを取れなくなる強力な技だ。
だが、それを俺は全力に近い火魔法で撃ち破っていく。
降り注ぐ氷の針のうち炙れど、溶けずに残った一本が、幻のドロップアイテム。
『不燃の氷』である。
それをしっかり回収してから、俺は今度こそ、剣先をアイシングドラゴンに向かわせる。
前パーティーではサンタナが火属性を扱っていたため、まともに使うのは何年ぶりだろう。
もしかしたら、幼年期以来かもしれない。
まだ平均とかバランスだとかを気にせず、力を行使していた頃だ。
「火よ我が手に来たりて、唸りをあげよ。豪炎となりて、場を制圧せん」
長い詠唱とともに、剣を一振り。
「『焔斬り』!!」
空中の水分をも凍らせるその体と、超高温に達した白い炎。
一瞬、視界が消えた。
高次元エネルギーの衝突により、爆発が起きたのだ。
それを水の防御壁で防げば、アイシングドラゴン倒れたり。
十年近く使っていなかった強力魔法だが、腕は錆び付いてはいなかったらしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます