第四十三話 アーノルド家、手のひら返し

 バレッドside


 「バレッド様。大変です」

 「どうしたと言うんだ一体」


 バレッド・アーノルド。

 レインの実の父でラールの義父である。

 レインを無能だと追放した人物でもある。


 「そ、それがラール様がお負けになったと」

 「何だと!? それは真か」

 「はい。恐らく真実かと」


 バレッドは信じられないと言った様子で使用人の言葉を聞いていた。

 何せアーノルド家期待の星であの魔剣聖のラールだ。

 昔から優秀で天才と呼ばれた彼が負ける筈がないと思っていた。


 「それで相手は誰だ?」

 「そ、それが…………」

 「何だ早く言え!」

 「レ、レイン様だと」

 「何だと!?」


 バレッドは更に驚き、最早思考も体も固まって動けなかった。

 

 「馬鹿な。あの外れスキル【経験値0】のレインが、どうやって」

 「詳細は分かりかねますが、他にも巨竜討伐やブラックスライム討伐など最強クラスの相手を倒しています」

 「な!? わ、私がま、間違っていたと言うのか!?」

 「バレッド様」

 「今すぐレインを連れ戻せ。今すぐにだ」


 「か、畏まりました」


 バレッドはレインを連れ戻そうと必死になる。

 外れスキル【経験値0】の無能はいらんと言い追放したのに随分身勝手である。


 「やはりアーノルド家を継ぐのはレインなのか」


 バレッドはそう悔しそうに呟いた。

 それと同時に妻であるエーラ・アーノルドが何事かとやって来た。


 「貴方何事ですの?」

 「レインが生きていた」

 「まだ生きていたんですの。あんな無能は死んで当然」

 

 エーラは凄く苦虫を噛むようにそう言い放った。

 

 「私も同じことを思っていた。しかしどうやらレインは活躍しているようだ」

 「え!? どういう事よ!?」

 「ラールを倒したそうだ。更には巨竜やブラックスライムまで倒しているらしい」

 「デマではなくて?」

 「今確認も兼ねてレインを連れ戻しに使用人共を向かわさせている」

 「何だやはり私達の息子は優秀でしたのね。これでアーノルド家は安泰ですね」


 エーラは今までのレインにしてきた行いを忘れるかのように手のひら返しを行う。

 

 「ああ。もしレインが最強ならアーノルド家は天下を取るぞ」

 「ラールは要らない子ですね」

 「まだ噂が確定した訳ではない。ラールを見放すのはまだ早い」


 バレッドとエーラは二人して下卑た笑みを浮かべた。

 二人は自分たちの事しか考えていない自己中の屑だった。


 そして同時に知る事となる。

 レインが決してアーノルド家に戻らない事を。


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