第七話 ブラックウルフとの競争その2
俺はブラックウルフと現在競争している。
負ければHPが0になり死亡が確定する。
俺は死にたくない。成り上がるんだ。
「はあああああああああああああっ」
俺は圧倒的スピードで走っていく。
そしてブラックウルフを遂に視界に捉えた。
俺はそのままブラックウルフと並び、そして抜き去る。
「ゴールはあそこか」
入り組んだダンジョン第五層であったが俺は運よくゴールを見つけることに成功した。
そしてまたブラックウルフも同様に。
というより恐らくブラックウルフはゴールを最初から知っているんだ。
だから結局この第五層を制覇するにはブラックウルフより足が速くてはならない。
「こんなところで負けてたまるかあああああ!」
俺は叫び最後の一直線を駆け抜ける。
そしてブラックウルフより速く走りゴールした。
「はあはあ……勝ったんだ」
俺はゴールした瞬間安堵と疲労から地面に座り込む。
【魔導士レインよ。そなたの勝利だ。褒美を授けよう】
その言葉と同時に競争していたブラックウルフは消失し、一つの横長の豪華なケースが出現した。
【さあ開けるのだ。そしていつかここをもう一度訪れるとよい。いつの日かエターナルの完全制覇を願っておる】
俺はケースを開ける。するとそこには禍々しい漆黒の鞘と剣が存在した。
その剣の名は魔剣アーレード。
かつての英雄アーレードが最後に魂を込めて創造した剣だと言われている。
「これが第五層の報酬か。じゃあ次は第六層だな」
俺がそう口に出すと空中にこう文字が出た。
【いや其方のエターナルでの冒険はここで一旦終わりだ。いつの日かバグで世界の謎を解き明かし英雄となるがよい。期待しておるぞ謎多き異端児レインよ】
どういう事だ!?
俺はまだ全てのステータス値をバグらせてはいないぞ。
そう思った瞬間俺は意識を失った。
「おかえりなさい。どうやらバグ化することに成功したようですね」
俺は気づくと神殿に戻って来ていた。
そして目の前に容姿端麗のそれでいてどこか畏怖を感じる女神が居た。
「あの場所は何だ? バグとは何だ?」
「本来ステータス値は経験値を取得しレベルが上がる事で少しずつ上昇していきます。しかし貴方には外れスキル【経験値0】により経験値が入ることは無い。即ちレベルも上がることはありません。よってバグ化させる事でしか強くすることは出来なかったのです」
別にあんな過酷なダンジョンに放り込む必要なくない?
バグ化する条件さえ教えて貰えればそれでいいのに。
「あんな危険な場所に放り込む必要ねえだろうが。死ぬところだったんだぞ」
「それは貴方にエターナルの存在を確認してほしかったのです。現在あの最奥地に何があるかは誰にも分かっていません。それどころかあれを認識しているのは女神である私だけ。通常の人間にはあれを踏破する事は不可能です」
「俺なら出来ると?」
女神は自信満々な表情で頷く。
「貴方は通常ではない。異常、謂わばこの世界のバグのような存在。それ故にこの世界で貴方だけが唯一あのエターナルと言うダンジョンを踏破できる可能性があるのです」
成程。俺だけが可能性があるのか。だが理由は何だ?
誰だってステータス値をバグ化させればいいだろうが。
「ところでバグ化の条件を教えて欲しいんだが? それと誰でもバグ化できるのか?」
「先ずバグ化出来るのはこの世界で唯一貴方だけです。それは固有スキル【経験値0】という異例の外れスキルを持っているのが理由です。だから私は貴方を過酷な環境に放り込んだのです。バグ化する僅かな可能性に賭けて」
エターナルに放り込んだ理由はそっちが本命じゃないのか?
何が存在を確認してほしいだ。嘘つきやがって。
まあバグ化できたから恨むことはしないが。
「バグ化が俺にしか出来ないのは分かった。それはこっちとしても好都合だ」
「そうですね。全てのステータス値をバグ化させれば貴方は文字通り最強となりうるでしょう」
「だからバグ化の条件を教えてくれ。全てをバグ化させたい」
「それは無理です。バグ化の条件は誰にも分からないのです。貴方自身で特定するしかありません」
はあ!? マジかよ。バグ化する条件知らねえのかよこの女神。
想定外だ。だがまあそんな都合よくはいかないか。
「分かった取り敢えず俺の当面の目標はステータスのバグ化の条件を探る事だな?」
「はい。そしていつかエターナルを攻略してください。宜しくお願いします」
「分かった」
こうして俺はこの日エターナルから帰還した。
そして新たな目標が生まれた。
それは全てのステータス値をバグ化させ最強となり謎のダンジョン【エターナル】を攻略する事。
「ステータスオープン」
ステータス
名前【レイン】
年齢【15歳】
レベル【1】
HP【90】
MP【50】
攻撃力【1200】
防御力【10】
俊敏【10】
魔力【10】
幸運【1】
SP【45】
スキル【強化】【神速】
固有スキル【経験値0】
装備
武器【魔剣アーレード】
武器効果:漆黒の斬撃を飛ばせる。
防具【なし】
アイテム【アイテムボックス】
アイテムボックス内部【なし】
お金【∞ガルド】
おおすげえ。攻撃力が1200になったぞ。
つまり+1190されたという事か。
うん? 武器効果というものも存在するのか。
漆黒の斬撃を飛ばせるか。良く分からないがかなり強そうだ。
「じゃあ行ってくる」
「はい頑張ってください。貴方に期待しています」
「ああ任せておけ」
俺はこの日旅立つ。
最強になる為に。
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