第8話

〜ルームN〜


「「博士。進展がありました」」


「ああ、分かった」


 第一段階、権限保持者を掌握すること。それを成し遂げた。

 次は、電脳世界だが、一節縄で行かないのが現状だ。

 

 小生を手に入れた事は良いのだが、下名が、解析を始めた事が大きく、学校が起動してしまった事になる。


 しかし、遊園地の存在は誰も感知していない。まぁ寄生型だから仕方ないのだが。


〜会議室 弁護士〜


 え? なんですか? ああ。あの話。

 それは以前にも話した通り、無効となります。


 ワタシ言いましたよね? 一概に者に責任を擦り付ける事は法的に不可能だと。

 だって、人権が無いのですから、責任を果たす義務は発生しません。でも勘違いしないでください。奴隷として生きる者は例外です。あの者達には人権が無いものの責任を果たす義務を持っています。何故かって? 奴隷の者達は他の者達とは位が違いましすからね。


 まず行動範囲が違います。それに人の世話をするに当たって、想定外の事故、事件が、いずれ必ず発生します。それをいちいち所持者の責任にしてしまえば不都合事が起き、生活をより良い物にするために導入したのに返って悪くなりますからね。


 ですが、所持者が命令した罪、事故は所持者の責任になります。

 

 と言いつつ、そのようにして裁かれた所持者は皆無なんですがね。

 

 で、その他の者の起こした責任問題は全て所持者に流れていきます。

 まぁ、AIや人形人外生物などは、工場など生産や接客などの業務が主ですからね。これらで者が起こした面倒事は会社のイメージに関わります。

 当然と言えば当然ですね。

 

 え? じゃぁ所持者が居ない者の起こした責任はどうなるかって?


 簡単に言えば無くなりはしませんが、罪を償う義務を持つ存在が居ないことになりますので、誰も負う必要は無いです。


 それに者達は自力で生きていく事が不可能とされています。お金の問題、土地、AIでもそのサーバー使用料とかですね。


 者は自身でお金を稼ぐことが出来ないので。


 そもそも、普通、所持者が死亡したとして、それらは相続人が引き継ぐ為、普通は所持者が居ない者は居ません。もし居たとしても先程のお金の問題が発生する為、生きていくことは出来ません。ですが、所持者の持つ権利は死んでもなお効果を発揮するため、我々部外者が処分及び殺害する事は出来ません。処分してしまったり持ち帰ってしまうと、窃盗罪等で裁かれます。


 もしお金を稼ぐ事の出来る、者は出てきたらどうするのか?


 いやぁ、考えてください。責任を果たす義務のない存在から何か物を買いたいと思いますか? だって実質、所持者の居ない者らは無法です。ですからルールを守っているかも不明です。たとえルールを破っていたとして罪をかけられた、としても罰せられる者は誰一人として居ないことになります。だって責任を負う存在がないのでね。


 つまり誰も、者からは物などサービスを買おうとは思わないのです。

 だから、存在出来ないのです。


 理論上、存在することは可能ですが不可能に近いのが現実です。


 アメジストテクノロジー社? ああ、知ってますとも。だってこの世界のプロセッサーのシェアは九割超えですからね。


 ですが、すごい話です。


 あの会社に、人間は一人しか居ません。


 そうですね。あの会社の責任者が死亡した場合。数億を超える者が、溢れ出ることになりますね。それに、あの組織の持つ財産は責任者の物ですからね。持っている北海道程の土地と、機材は所持者の権利があるため、手出しできません。実はあれ、誰も雇っていないのですよ。なので内部の人間が譲渡することも不可能なんです。だって従業員は全て、責任者の所持物なので。


 それにあの会社は国に属しているのですが、ほとんど別の国と言っていいほどです。何故かって? あの会社の内部は属している国とは別の独自の法律、憲法が存在することが分かっています。内部で、会社外の法律に抵触する事があっても、誰が外に告発するのでしょうか? 全員、所持者が居ます。あの会社の内部はとても良いところです。その者達が責任者を売るとは考えにくいです。


 それにその問題は者同士の問題でしょうから、法律には大きく干渉しないでしょうけどね。だって、自分のマグカップが自分の窓ガラスに当たって両方割れてしまったと同じですからね。害は全て所持者の物です。


 もし、あの会社が何かしらの問題で、有罪になったとしても、我々の世界はあの会社抜きでは確実に回ることが出来ません。世界があの会社に依存していると言っても過言じゃないのです。


 話がズレましたね。アメジスト社の責任者が居なくなった所で、存在しない会社が存在してしまう事になります。それに内部は、者だけの国になってその場所だけでは人間と者の立場が逆転します。もし、会社内部で人を殺した事が顕になった所で責任は無ですからね。


 まとめると、一例を除いて所持者の居ない者は存在しません。

 アメジスト社を潰すと世界が終わります。もし世界になにか要求してきたのであれば、何があっても呑む他ないのです。


 ここだけの話、アメジスト社のプロセッサーには、構造的には存在しているはずなのに無いものとされる部分が存在します。その部分はDNAエミュレートに適した構造だったとか。そうアメジスト社が開発した、拡張子DNAです。

 アメジスト社はその気になれば全ての機器を操作することが可能です。


 えぇ、はい。

 そうですね。


 今、騒ぎを起こしている組織は恐らくアメジスト社の者達です。

 ですが、おかしいのですよね。自社内で平和に暮せば良いのに。

 何か、人権問題以外に何かしら目的があると考えるのが筋です。


 例えば、国として自立するだとか。

 者の開放。者の収集。


 どれだろうとも、アメジストテクノロジー社、社長。木田 守。

 本人に聞くしかない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る