クラスメイトの腕

うわさ

「ねぇハジメ、知ってる? 湯木ゆぎさんの噂。

 あの子いつも長袖着てんじゃん?

 この前ちらっと手首が見えたって言ってる人がいるんだけど……傷だらけだったみたいで。

 真っ白な肌に何本も線が走っててやばかったらしいよ」

 

 ……まじか。…………思うことはいろいろあるけど、

「なんで今言うんだよ……」


「え?」

不思議そうな顔をされた。


「今から湯木さんと2人きりで補習なんだが……?」

「…………おぉー、……」

「……」

「………………まぁ大丈夫やって!」


 背を向けてタッと廊下を走っていきやがった。

 俺の幼馴染の空気の読めなさがやばい。



くそ、さっきまでは正直ウキウキだったのに。湯木さん、物静かだけどめちゃめちゃ美人だし。

 途端に重くなってきた足を引きずりながら、指定された教室に向かった。

 頑張れ、ハジメ……

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