忘却しかけの手紙

箱に閉まっておいた手紙

ふと手が伸びたのは

新しい時間を過ごすため


姿形だけで蘇る古い記憶

過去には戻れない

懐かしいにおいが香る


クラクションの音は自転車のベル

新幹線は一両編成の電車

田んぼの間を通り抜けていく


今どうしてるだろう

手紙をくれた君

いつからだろう

手紙のやりとりをしなくなったのは



それ自体閉まっておいた箱

ふと手が伸びたのは

きっと思い出したくなったから


丁寧な字から蘇るあの頃の記憶

今からまた戻れるか?

懐かしい言葉が心に残る


通勤途中の人混みは通学途中の生徒達

忙しさの通る音は人と人が笑い合う声

田んぼの横を駆け抜けていく


今どうしてるかな

手紙をくれた君

いつのころだろう

手紙のやりとりを止めてしまったのは



アドレスも知らない

懐かしい君は

今どうしてるかな

風の便りさえも来ないのは

忙しさに飲み込まれた私

きっと時間のせいにした

また書いたら手紙届くかな

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