第47話

待機中、折を見て私は雷撃隊のところにケジメを付けに行った。


我々の掩護が至らず、雷撃隊の九七式艦上攻撃機一機がやられた事が気になっていたのだ。


既に板谷隊長が制空隊長として一言入れたとのことだが、私自身も一言詫びを入れたい気持ちがあったのだ。


雷撃隊のみんなのところに行き、みんなに頭を下げた。


「制空隊の新海です。直掩が至らず、敵機の攻撃を許してしまい申し訳ありません。」


「見ていたよ。あれは仕方ないし、それにしっかり仇を取ってくれたじゃないか。こちらこそ礼を言うよ。」


「わざわざありがとう。でもな、もうそんな詫びを言いに来ないでくれ。お互いに死力を尽くした。そこに詫びる必要はないんだ。これからもよろしく頼むよ。」


「はい。」


なんて清々しい連中だろう。いや、皆そうだ。我々は全員死を覚悟している。その死を軽々しく詫びてはいけない。自分自身がそうなったときに詫びればよいのだ。


私は心に刻み込んだ。




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