美味しい話
大工仕事も少しずつ減ってきた頃、昔の仲間内の一人から、良い儲け話があるから一口乗らないかと誘われた。
買取先が決まっているお宝を盗む仕事だそうだ。今回は、良い金になりそうだが、
任されるのが囮役であるから、捕まれば打ち首ものだ。
懐も今は十二分に潤っているが、金はいつなくなるかわからない。
下手すりゃ婆ぁよりも先にくたばる事になる。
そしたらあの婆ぁの世話係はお役御免だ。
などとまた勝手なことを考えていると、焦れたらしい仲間が舌打ちをして、
「答えは、また聞く。日和やがって。」
とぶつくさ言いながら駆けて行った。
まぁ確かに一枚噛んで、この話が上手くいけば、少しは泥棒としての名も上がって、
質の良いお宝の買い取り手を客に付ける事が出来るかもしれねぇ。
美味しい話と言えばそうだと思う。
男はこれも良いかもしれんと思いながら、
どうにも煮え切らない気持ちで手土産を片手でぶぅらぶぅらと振り回し、老婆の家に帰っていった。
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