家族ごっこ
どこの誰かも知らぬ婆ぁの世話に、泥棒はすっかり慣れて、少々楽しささえ感じてきた。
初めのうちは、いつになったらくたばるんだなどと嫌なことを考えていたが、
老婆が自分の作った汁物を決まって全て食うのを見ると、何だか気持ちがほんわかとする。
それに顔も知らぬが、自分の母親と暮らしていたら、こんな気分だろうと思うのだ。
まぁ自分の親だったらこんなしわくちゃな程の歳でもないかと思いながら、
男は好き勝手ぺちゃくちゃ今日あった事や、ここへ来る途中の季節の移り替わった景色などを婆ぁに聞かせてやった。
聞いてるのか聞いていないのかわからないが、婆ぁの口角はいつも少し上がっている気がする。
体力を使うので相槌は上手く打てないのだろうがこういうのも悪くない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます