可愛い目覚まし


目覚まし時計は

ゆっくりと

壊れていった

だから最初、壊れていることに気付かなかった

わたしを起こしたくはないのだ

そういった勢力を感じた

出来ればそのまま死んだように眠り続けていて欲しいのだ

わたしは最後の抵抗をするように目覚めた

「ふう………」

強烈に身体がだるい

相変わらずこの世界は狂っていた

目覚める度に狂っているので

たまにこれが正常という名前なのかと錯覚してしまいそうだった

わたしは目覚まし時計を破壊した

壁に叩き付けられて部品が床に飛び散った

何故ならこいつは死ぬほど価値が無い


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る