第23話 レベル上げ
テンポラリーダンジョンを攻略した翌日、ソラはボスドロップの確認を行った。
ブラッディハウンドから得たドロップは三つ。
『突破石』『漆黒のブーツ』『吸血の腕輪』
名称:突破石 ランク:UC
説明:閉ざされたダンジョンのゲートを突破するために用いる石。突破出来る人数は一個につき一人だけ。
「なにも、今出なくても……」
インベントリに表示される石のアイコンを見て、ソラは深々とため息を漏らした。
これは、変異ダンジョンから入脱出するためのアイテムだ。
レアではあるのだが、ダンジョンアイテムの中でも比較的ドロップしやすい部類に入る。
クリアするまで脱出出来ないダンジョンのボスを倒したら、強制的に脱出出来るアイテムが手に入るなど、皮肉である。
「まあ、次の機会があるかもしれないか」
そう、前向きに捉えることにした。
残るアイテムは二つ。
名称:漆黒のブーツ ランク:UC
防御力:+5 精錬度:―
装備条件:AGI+30
説明:ブラッディハウンドの毛皮を用いた足具。静音性とグリップ力が優れており、隠密行動に向いているが、防御力は低い。
名称:吸血の腕輪 ランク:R
AGI:+10 精錬度:―
装備条件:なし
説明:ブラッディハウンドの怨念が込められた腕輪。装備するとAGIが上昇する。これを装備すると、毎晩犬の遠吠えの幻聴が聞こえる。
吸血の腕輪はレベル2つ分もAGIが上がる、優れた装備だった。
いかにも呪われそうな説明文がついているが、遠吠えが聞こえるのは夜限定だ。寝る前には装備を外せば問題ないだろう。
「精錬石がかなり溜まってるな……」
インベントリに収納されている精錬石は、いまや100に迫る勢いだ。
一般モンスターを倒すと必ずドロップする。
そのため、消費より取得が上回ってしまうのだ。
「まあ、気兼ねなく使えるのはありがたいか」
ソラは遠慮せずに、次々と精錬していく。
名称:短剣+ ランク:UC
攻撃力:24→26 精錬度:5→6
装備条件:AGI+25→30
名称:ゴブリンキングの剣 ランク:R
攻撃力:+25→28 精錬度:―→1
装備条件:STR+20→25
名称:ゴブリンキングの小手 ランク:UC
防御力:18→20 精錬度:4→5
装備条件:STR20→25
名称:漆黒のブーツ ランク:UC
防御力:5→6 精錬度:―→1
装備条件:AGI+30→35
名称:吸血の腕輪 ランク:R
AGI:+10→16 精錬度:―→6
装備条件:なし
唯一、腕輪だけは装備条件が付かなかった。
そのため、一気に精錬度を6まで上げてしまえた。
「やっぱり、アイテムによって精錬時の上昇率が違うな」
ブーツが精錬度1につき防御力が1アップ。
ゴブリンキングの剣は、精錬度1につき攻撃力が3アップだ。
「未精錬のときの基礎値で、上昇率が変わるのか」
現在の観測内では、そう見える。
考えてみれば、当然だ。
低レベルの時の攻撃力+1と、高レベルの時の攻撃力+1では、同じ1だが価値が違うのだ。
基礎値か、あるいは装備のランクによって上昇率が変化するのは当然である。
装備をチェックしたあと、ソラは近くのダンジョンを手当たり次第攻略することにした。
というのも、昨日ダンジョンで人死にを目撃したからだ。
このままではソラだって、同じ運命を辿る可能性がある。
そうならないように、なによりも強くなる必要があった。
固定ダンジョンはGランクから存在するが、Gは一般人がFランクを目指すためのダンジョンだ。
今のソラがいってもレベルアップは望めまい。
なのでまずはGの一つ上、Fランクから回ることにした。
都内には5つの固定Fランクダンジョンが存在する。
先日は井の頭公園Fをクリアしたので、他の4箇所を回る。
ダンジョンには、たいていの場合属性がある。
獣属性ならハウンド系が、亜人属性なら亜人系の魔物が出現する。
属性がないダンジョンもあるにはあるが、低級冒険者にはまず関係ない。属性なしが現われるのは、上級ダンジョンの中だけだ。
井の頭公園Fは亜人系。
他のダンジョンは、獣系、昆虫系、無生物系、は虫類系の四つだ。
低ランクのダンジョンでは、一番攻略難易度が高いのが獣系、低いのが亜人系だ。
高ランクになると、これが逆転する。
は虫類、昆虫類は、人によって攻略難易度がMAXまで上昇する。
苦手な人はそもそも、ダンジョンに近寄りたくもないと思っているだろう。
ソラは基本的に、ダンジョンの魔物で苦手属性はなかった。
なのでなんの憂いもなく、Fランクダンジョンを攻略していく。
名前:天水 ソラ
Lv:17→20 ランク:E
SP:15→0 職業:中級荷物持ち
STR:25 VIT:14→24
AGI:36→56 MAG:0 SEN:15
アビリティ:【成長加速】【初級剣術】+
スキル:【完全ドロップ】【限界突破】【インベントリ】
装備(効果):短剣+、ゴブリンキングの剣、革の胸当て+、ゴブリンキングの小手、漆黒のブーツ(隠密性+)、吸血の腕輪(AGI+16)
アビリティをチェックすると、【初級二刀流術】が増えていた。
レベルアップによるものか、あるいはソラが、二刀流で戦うようになったからか。
いずれにせよ、現在のスタイルに合致したアビリティだ。使わない手はない。
早速アビリティを入れ替えた。
レベル表記があるということは、ここからさらに上があるのだろう。
いまの動きで慢心せず、研究と鍛錬を続ければ上げられずはずだ。
「それにしても、レベル上がらないなあ」
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