第30話 ありそうでなかった『タッグ』! 二人のレディーガンナー!!
――カルサイトリコ スパー高原――
『世紀の大悪党エリオット=ウォラック! 包囲網をかいくぐり逃走!』
――だって。
今日の新聞だと、エリオットは一人でにげているみたい。
記事だと、元仲間からの情報で発見って書いてある。
エディもヴィニーもついに愛想つきたみたいだね。
えっと今は、僕らが何をしているのかといえば、連携をかねて高原へ出ていて。
「そっちいったよ!
「し、しつこいですわよウィンさん! その名前で呼ばないでと何度言えばわかるんですのっ!?」
「イッシッシッシッ」
なんか、ごめんなさい。
昨日、自分が変なこといったせいで。
今朝からウィンは仕返しといわんばかりにイジってる。
BANG! BANG! BANG!
でも、なんだかんだ、今は息を合わせていて。
おしよせてくるキャラメル色の大きなカニたちを始末しているんだよねぁ。
残り数は……25。
「ありがとうございます。フィルさん?」
「え? いきなりどうしたの? リュシアンくん?」
「姉さんにはいつかは言わないといけないと思って放置していたんです。だからフィルさんには感謝してるんです。言いにくいことを言ってくれて」
「う、うん」
誠実そうにみえて、この弟のリュシアンって子もタイガイだなぁ。
それに銃もけっこうゴツイ。
レバーアクション・ショットガン、【リオ・グランデ】。
これは、今この大陸ですっごい人気なSF小説の2作目に出て来るようなやつで。
その小説の内容って言うのが、未来から来た機械の殺人人形が出て来る物語でさぁ。
BANG!
「やっぱり使いにきぃな。フィル、やっぱ直らねぇのか?」
という割に、アニキはショットガンをたくみに操って、次々とカニたちをけちらしていく。
うん、そう。
例のショットガンっていうのは〈グリードウォーム〉の中で手に入れたあれ。
ショートバレルショットガン、
「うん、正直かーなーり時間かかるよ」
先日、ゴーレムとの戦いで、アニキの銃剣、【ペイルライダー】はボロボロ。
BANG!
「すばらしいですわ! ミスターフィル。わたくしの【クレメンタイル】が見ちがえるほど使いやすくなっていますわ!」
「あ、ありがとうございます」
「そうよ! フィルはすごいんだから!」
「なんでウィルさんがエラそうなんですの?」
BANG! BANG!
むしろスゴイのはジェニファーさん。
全部急所だけをねらって、確実にしとめている。
初見のモンスターにも関わらずね。
A級っていうのはダテじゃない。
やっぱり【重量】を調整して、使いやすさを重視して正解だった。
<クレメンタイル>
【攻撃補正】――Lv10 初期値7(+1)→92(+85)
【命中補正】――Lv10 初期値8(+1)→118(+110)
【重量】――Lv7 初期値42oz→45oz(+3)
【会心補正】――Lv13 初期値1.5(+0.0)→2.8(+1.3)
【
【追加効果:
【追加効果:
というか、なんだよ【
効果だけなら〈
いったい、だれが作ったんだろう?
BANG! BANG! BANG!
「ところでフィルくん、このカニいったい何なのかしら?」
「えっと、〈ピーカン・クラブ〉です。手配書にはそう書いてありましたよ、リリー姉さん」
「〈ピーカン・クラブ〉! 聞いたことあります、たしかその身はバターのようなコクがあるのだとか」
アリサさんのたんたんと年代物の銃剣付き、マスケット銃【デザートブリード】で切りさいていく。
この光景、どっかで見たことがあるんだけど。
どうも思いだせないんだよね。
どこだったかなぁ~。
「なに!? カニ、バター……そいつはうまそうだ! 生けどりにしようぜ!」
ほんとみんな強い。
負けてらんないな! これは!
こうして、僕らはばっちり息を合わせ、〈ピーカン・クラブ〉の100体の討伐終えて酒場へと帰ったんだ。
――港町カルサイトリコ
「〈ピーカン・クラブ〉討伐を祝してぇ~……
「「「
KATSCHAAAAAAAAAAAN!!
「ハムハム……ん、もぐ……ん、ゥンまあああああ~~~いっ! この〈ピーカン・クラブ〉の身ぷりぷりしていて、バターの風味と、うまみがジュワ~って!」
「こら、もっと落ち着いてだべなさい。でもほんとおいしいわね。これ……」
「かぁ~! 冷えたラガーとよく合うぜ」
「うん、うまい! チーズたっぷり〈ピーカン・クラブ〉の
「クーン! クーン!」
「そっか! よかった!」
キキもすんごくよろこんでる。
「ふふ、たまには大勢でさわぐっていうのも悪くないですわね、ところで――」
「ひぅ! じぇ、ジェニファーさんっ!?」
いきないふとももにジェニファーさんの指がはってきて!
「ほんと、すばらしかったですわ、ミスターフィル」
「あ、ありがとうございます」
「あなたのそのガンスミスとしての才、ぜひ当家で生かして――」
「ちょ、ちょっとウチの家族を引きぬこうとしないでくれる?」
「ヒィ!」
GNNNNNNNNNNNNG!
イタイタイイタイイタイッ!!!
今度はウィンに思いっきりふとももをつねられた!
「そ、そういえば、ずっと三人で旅を?」
「そうですね、故郷を出てからずっと、ね? 姉さん」
「ええ、もう5年になりますわね」
「長いものですね」
ジェニファーさんたちから、なんだかノスタルジックな空気がただよってきてきた。
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次回! 「平原の『厄災娘』の名はダテじゃない!?」
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