ゲームのガチャでメイドを当てたのでメイドと楽しくイチャイチャと暮らします
水野凧
第1話 メイドがやってきた
「私彼氏ができたから、アンタみたいな陰キャはもう私に近づかないで」
俺の名前は
実家が高校から遠いので、マンションで一人暮らしをしている。
そして今俺のことを振ってきた幼馴染は、
だが、今通っている高校に行くと、優花がいた。住んでいる家も、マンションの隣の家だったので、中学校の時と同じ様に一緒に登校していた。
今も一緒に登校していた訳だが、冬休み前の登校日に、こうして振られて先に学校に行ってしまったのである。
「まあ、あいつがそう言うんだったら仕方ないな」
別に恋愛感情が優花にあった訳ではないので、和樹は気にしていなかった。
一人で登校していると、後ろから肩を組まれる。こんなふうに肩を組んでくるやつは一人しかいない。
「よっ! 和樹、おはよう」
「ああ、おはよう友樹」
肩を組んできた男子の名前は
クラスが一緒で、名前が少し似ていることから、友樹から声をかけてきた。ゲームの事で意気投合し、よく俺の部屋にも遊びに来ていたりする。
どんな人にも気さくに話しかけるいいやつで、俺は友樹の事を親友と勝手に思っている。
俺が優花といつも登校している途中で合流するので、いつもいる優花がいないことが疑問に思ったのか、
「あれ、河野は? いつも一緒だったじゃん」
「ああ、なんか彼氏がいるって振られて、そのまま先に行っちゃった」
そう言うと友樹は笑って、
「マジか! 勿体無いな、和樹は髪上げたらイケメンなのに」
「そんなことないって」
そう、和樹は前髪で目が隠れている為、陰キャのように見えてしまうが、髪を上げてみるとその実態はイケメンである。
本人にあまり自覚が無いので、それには友樹も困っていた。
「いつも髪上げればいいのに」
「面倒くさいんだよ」
特にお洒落に敏感でもない和樹は、普段からこのボサボサの髪で生活している。
「まあ和樹らしいけどな」
そうこう言っているうちに、学校についた。HRまでまだ時間がある為、和樹と友樹はお互いがやっているゲームについて話している。
「和樹は当たったか?」
「いや、駄目だ。当たる気がしないよ」
和樹達が話しているゲームは、『ガールズブレイカー』といって、ガチャで女の子のカードを当てて、育成した女の子達をパーティに編成して戦わせるというゲームだ。
そしてこのゲームには幻のレアカードが存在する。
そのカードのキャラの名前がリアラというメイド服を着た美少女。銀髪碧眼で、絵になるようなスタイル、冷静沈着でクールビューティー、それでいて御主人様にはとことん尽くす。そんなキャラ設定で生まれたリアラの当たる確率が、0.000001%という、誰も当てれないレベルの確率だ。
リアラが出てきてから、リアラを当てるために課金をしまくる人が急増して、課金者殺しとまで言われている。
「課金者でも当たった報告がないし、当たるわけないよなぁ」
「そうだな、俺もかれこれ200連ぐらいしてるけど当たらないよ」
課金者ならこれよりも更にガチャを回しているはず。200連では当たるわけが無い。
「ゲームでもいいよ、あんなクール美人に尽くされたいよなぁ」
「妄想しすぎると悲しくなるからやめて」
「ははっ、そうだな」
話をしていると、教室の扉が開き、担任の先生が入ってくる。
「おはよう。今から終業式だから、体育館に集合だ」
担任の先生の名前は白崎しらさき巴ともえ。男勝りな性格だが、面倒見が良く、生徒から慕われている女の先生だ。
これから終業式ということで、体育館に向かう。
終業式では、校長先生の眠くなる長い話を聞き、冬休みの注意事項を聞いて終わった。
教室に戻り、LHRが終わればあとは冬休みだ。
「明日から冬休みだが、羽目を外しすぎるなよ。宿題もたんまり用意しているからな」
生徒からは、「ええ〜少なくしてよ〜」「先生のケチ〜」やらが聞こてくる。
「答えも配るから、最悪答え見てやればいいだろう」
教師がそんな事言ってもいいのだろうか?確かに小中の時では、答えは見たりしていた。だが高校生になってからは、一応真面目にやっているつもりだ。
「お!チャイムが鳴ったな、では解散!」
皆ぞろぞろと教室を出ていく。
友樹は和樹に近づき、
「和樹、明日遊びに行ってもいいか?今日は彼女と遊ぶから無理なんだけど」
ちゃっかりとリア充アピールをしてくる友樹。彼女の説明はまた後ほどということにしておこう。
「ああ、わかった」
「なんか持っていくから。じゃ、また明日」
「おう、また明日」
和樹は寄り道をせずにまっすぐ家に帰る。リアラを当てるためにはステージを進めて、ガチャ専用の石を貯めなければならないからだ。
マンションに着いて、急いで階段を登る。和樹の部屋は二階にある為、階段を使った方が早い。
部屋に入り、すぐさまスマホの電源をつけてガールズブレイカーのアプリを起動させる。
「取り敢えず晩飯の時間までぶっ通しでやろう」
和樹はそこからイベントやストーリーを進めていき、何とか40連分の石を集める事ができた。
カードのレア度は、順にR、SR、SSR、リアラのカードのレア度はLRとなっている。
「まずは10連目だ」
ガチャには確定演出があるのだが、10連目は確定演出が無かった。
その後も20連目、30連目と回していくが、当たるのはRとSRだけ。
「これだけ頑張ったのにせめてSSRぐらい出てくれよ」
そう言って回した40連目、ついに確定演出がきた。
「よっしゃ!リアラきてくれ!」
ところが出てきたのはSSRが一枚だけ、狙いのリアラは出てきてくれなかった。
「何故だぁ!どうして出てくれないんだぁ!」
悔やむように出てきたSSRを見ながら叫ぶ和樹。
殆ど諦めつつ、まだガチャは回せないかと、プレゼント一覧を見てみると、運営からのプレゼントでガチャ一回分の石を貰った。
「一回分……これ出てたら苦労はないよ」
そう言いながらもガチャを回す。すると、思いもしなかったことが起きる。
「な、何だこれ!」
それは今までガチャを回してきて、一度も見たことがない演出だった。
そして出てきたカードは、
「うおぉぉぉ!出た!出たぞ!遂にリアラが俺のもとに!」
キラキラと輝くLRの文字に、落ち着いた表情をした銀髪の美少女のキャラ。まさしくリアラが、和樹のもとにやってきた。
「すぐに友樹に報告だ」
先にリアラを当てたほうは報告すると約束していたので、メールアプリを起動し、友樹に報告した。
すぐに既読が付き、『お前ずるいぞ!明日見せてくれよ』と送られてきた。『わかってるよ』とだけ返し、すぐにゲームの画面に戻す。
「早速編成して使ってみよう」
キャラ一覧でリアラを選び、パーティに編成しようとしたが、
「ん?あれ、なんで編成できないんだ?」
何回パーティ編成のボタンをタップしても反応は無い。他のキャラを試してみると、普通に編成できた。なのにリアラだけは編成できないのだ。
そこからご飯を食べるときも、風呂に入っているときもネットで調べたりしてみるが、どう頑張ってもリアラだけが編成する事ができなかった。
「何でだよ……せっかく当てたのに……はぁ〜」
ため息をついた和樹は諦めてスマホを充電し、ライトノベルを読み始めた。
和樹の部屋の本棚にはライトノベル以外の本は無い。無類のライトノベル好きなのだ。
そもそもここまでライトノベル好きになったのは両親の影響があり、母はライトノベルが好きで、父に至ってはライトノベル作家で、かなり売れている作家だ。
小学校の時ぐらいからライトノベルを知って、和樹もライトノベルにはまってしまったのである。
ライトノベルでは美少女が多い。そしてそんな美少女と結ばれる主人公。だが現実は彼女などいないただの陰キャ。それを思い出した和樹は、
「やっぱり彼女がほしいな……」
ラブコメを見ていて現実を見ると虚しくなる。友樹の彼女とも面識がある為、友樹と彼女の仲睦まじい場面を見ては、彼女がほしいと嘆いている。
しばらく本を読んでいたが、ウトウトし始めてきて、和樹はそのまま寝てしまった。
―――――――――――――――
カーテンの間から光が差し込んでくる。その眩しさで和樹は目を覚ました。
すぐにスマホで時間を確認する。時刻は午前9時、メールで友樹が10時に家に行くと連絡が入っていたので返事をする。
メールアプリをよく見てみると、もう一つの通知があった。送り主は父親。夜中に送ってきていたらしく、内容を確認すると、
『明日、和樹のところにメイドが来るはずだから、和樹の部屋に住ませてやってくれ』
「何だこれ?寝ぼけてんのかな?」
和樹は全く信じておらず、洗面台に行って顔を洗って歯を磨く。すると歯を磨き終わったタイミングで、インターホンが鳴った。
(友樹か?それにしては早すぎるし……)
誰かと思い玄関の扉を開けるとそこにいたのは、
「リアラと申します。和樹様のメイドとして参りました。よろしくお願いします」
「……へ?」
昨日ガチャで当てたリアラが、和樹の目の前に立っていた。
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