第9話 フライドチキン パート2

かみさんは銀行強盗と言う恐れ多いでかい仕事をやってのけたにも関わらずいつも通り平然としている。何とも不気味だ。俺は仕事でヘトヘトになって家に帰った。以前、何処かで見たような光景が…庭の楡の木の前に囲いが作られ鶏が15羽くらい飼われていた。俺は訝しがりながらキッチンに行くとかみさんがフライドチキンを作っていた。かみさんのテンションからすると今日はヤクはやってないみたいだ。上機嫌で骨付きのチキンを下ごしらえして粉に塗している。俺は尋ねた。「外の鶏。ありゃ、どうしたんだ?」「知り合いが飼えないから持って行ってくれても構わないって言ってくれたのよ。あんたの好きなフライドチキン。毎日でも作ってやるよ」俺はまたしてもフライドチキンの誘惑に負けて胸が高鳴った。飯が出来て俺は骨付きのフライドチキンに武者振り付いていた。「うめえ」俺は自然と笑顔が零れた。かみさんは顔は普通だが料理の腕は一流だ。持つべきものは美味い飯が作れるかみさんだな。丁度、テレビでニュースが流れてきた。「では、続いてのニュースです。今日、シャイアンの養鶏場で鳥インフルエンザが発生しました。殺処分に困った養鶏場の飼育者は無料でこの鶏を近隣住民に配ったとの事です。被害の拡大と鳥インフルエンザの拡散の恐れがありますので心当たりのある方は衛生局までご一報ください」俺が後ろを振り返ると開いたキッチンの扉から顔を半分だけ出してかみさんがほくそ笑んでいた。

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