②
「ようやく
ありえない。なぜ私が殿下を好きなことが前提なの!?
指で
「仕方ない、おまえのこともたまには相手にしてやろう」
「ひっ」
さすがにカフェテラスで何かあるとは思えないけれど、今すぐ殿下から
「し、失礼いたします! 急ぎの用事を思い出しました!!」
「おいっ」
私は本をテーブルに置いたまま、
「ヴィアラ!」
カフェテラスを出て、私は早歩きで
カツカツと高い
「待て!」
なんで追ってくるの!?
いつもは私に関心なんてないくせに!?
必死で逃げる私。どこか
あぁ、もうどうすればいいの!?
そう思った
「お
建物の中なのに、数メートル先すら見えなくなっていた。魔法で作り上げた霧は、私たちの姿を隠してくれている。
私はシドの胸に
背中に回された腕は力強くて安心するが、同時にシドの
「ヴィアラ! どこへ行った!」
殿下の声が、
「はぁ……、もう大丈夫みたいね」
私を包み込んでいた腕がそっと
シドは指先を鳴らして霧を晴らすと、
「あのバ……、殿下は別の場所に
今バカって言おうとしたわね? バロックのバである可能性もあるけれど、ごまかしたってことは多分そういうことだろう。
「助かったわ。ありがとう」
見上げると、シドは
「いえ、すぐに出ていけなくてすみません」
「仕方ないわ、従者は入れる場所が決まっているもの。それに、ちょっと手を握られたくらいで
苦笑いで左手をひらひらさせると、シドは「はぁ!?」と言って
「
シドはすぐに私の左手を取り、自分の両手で包み込むようにした。ふわっと風が巻き起こり、聖属性魔法の浄化がかけられたことがわかる。
しかもキラキラと光の
すごくさっぱりして、教会でお清めやお
「大げさじゃない? すっきりして嬉しいけれど」
少し
「しますよ。お嬢が
「もうちょっとましな表現はないのかしら!?」
あまりの言い草に、ぎょっと目を見開く。
今日は
「お嬢は、俺がずっと守ってきたのに……」
その切なげな声に、胸がどきんと高鳴る。
それは自分が仕える主人への親愛?
それとも、主従以上の気持ちを持ってくれているの?
「ねぇ、シド。そのことなんだけれど……」
私のこと、どう思っているの? そう尋ねようとした矢先、シドの顔つきが
「あのろくでなし王子め……! お嬢が暴力に
「それをか弱いって言うのはおかしいわ」
今にも
「か弱いですよ。権力を
確かに、殿下を殴ると大問題になる。
シドは私の手を離すと、
「あのアホの目を、お嬢以外に向けさせないと……」
彼の頭の中は、殿下への対策でいっぱいだ。ちょっといい
私は目を
「来週にはお茶会があるわ」
「でも、手段は多い方がいいです」
その言葉に、ヒロインの顔がふと頭に浮かぶ。
シドも同じことを考えていたのか、じっと私の目を見て無言で訴えてきた。
「ダメよ、あの子は」
首を振り、縋るような目でシドを見る。けれど彼は、真剣な
「なぜ?
「でも、ククリカは幸せそうにしているのよ?」
「聞いてみてダメだったら、また別の方法を
じっくり話がしたいとは思っていたものの、ククリカを
でも万が一、彼女が乗り気になってくれたら? あぁ、私って誘惑に弱い!
「婚約を取りやめたいんでしょう?」
そして、従者が誘惑上手。うっかりすべてを委ねたくなるから
「だとしても、ククリカに
「わかっていますよ。洗脳したり
「発想が怖い! あなたどこでそんな考えを」
「マーカス公爵家です」
「うちだった!」
そうだ、シドは八歳からうちで育っている。
裏社会特有の危ないことも、教えたのは全部うちだった。
シドはまっすぐに私を見下ろし、低い声で宣言する。
「絶対に、婚約解消させますから」
まるで、手段を選ばないと言われているようで私は身構える。
「まずはお茶会が先よ。ククリカのことは、またそれから考えるわ。お弁当屋さんにいるってわかっているんだから、逃げられることはないでしょう」
シドは不服そうだったけれど、しばらくして
すべては、お茶会にかかっている。私は戦いにでも行くような
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