へらこい父親

9月11日の午後1時30分頃であった。


この日、さおりは身体がだるいのでユニクロの仕事を休んだ。


さおりは、休日を利用して3人の子どもたちと一緒に遠出した。


場所は、松山市総合コミュニティセンターの近くにある温水プール場にて…


さおりと3人の子どもたちは、水着姿でプールを楽しんでいた。


なおととふみこは、プールに入って水遊びを楽しんでいた。


まりよは、プールに入らずにデッキチェアでくつろいでいるさおりと一緒にいた。


さおりは、黒のユニクロ水着・スイムワンピの上から白のブラウスをはおっている姿である。


まりよは、さおりのHカップのふくよか過ぎる乳房に甘えている。


「ママァ…」


まりよは、つらそうな声でさおりを呼んだ。


「まりよ…」


さおりは、切ない声でまりよを呼んだ。


そして、なにも言わずに水着のストラップをずらして右の乳房を出した。


右の乳房に抱きついたまりよは、おっぱいをすっていた。


さおりは、ほほえみの表情でおっぱいをすっているまりよを見つめた。


表情はほほえんでいるが、内心は乳離れしてほしいとつぶやいた。


気持ちはうれしいけど…


早く乳離れしてほしい…


さて、その頃であった。


灘町にある特大サイズの和風建築の家に客が来ていた。


来客は、はじめのオイゴ・銀次である。


20畳の大広間に、はじめ夫婦と銀次の3人が話し合いをしていた。


銀次は、泣きそうな『ごはんが食べたい…』と言うた。


銀次は、1ヶ月前にはじめ夫婦の紹介で伊予市内にある事業所ヘ就職した。


しかし、経済的に苦しいから助けてくれとはじめ夫婦に助けを求めた。


はじめは、桐だんすに入っている茶封筒を取り出した。


茶封筒の中には、さおりがなおとの修学旅行の費用にとっていた5万円が入っていた。


それを銀次に渡そうとしていたところを卓が見たので、ひどいもめ事が起こった。


卓がはじめに『ぶっ殺してやる!!』と怒鳴り付けたあと、えり首をつかんで引っぱった。


端にいたかなえが、卓に『やめて!!』と言うて止めた。


「卓、なんでおとーさんを殴ろうとしたのよぉ~」

「クソボケジジイが、銀次にカネを貸そうとしたから怒っとんや!!」

「おとーさんは、銀次が困っているからお金を出したのよ!!」

「なんでそんないらんことするんぞ!?」

「銀次は『ごはんが食べたい…』といよんよ…1ヶ月前に就職したけど、お給料は今月の末にならないと出ないのよ…きょう一日分の食費貸してっていよんよ…銀次は、お給料が出たら返すといよんよ…信じてあげてよ…」


卓は、やる気のない声で『わかった』と言うた。


はじめは、銀次に5万円を渡した。


「おじさん、おばさん…ありがとう…必ず給料が出たら返します。」


はじめは、つらそうな声で言うた。


「銀次の都合がいいときに返しにおいで…わしらはいつでも待っているから…」


はじめ夫婦からカネを受け取った銀次は、家を出たあといよてつ電車に乗って松山市内ヘ向かった。


その後、銀天街にあるアニメイト(アニメ専門店)ヘ行って、人気アニメのグッズを大量に買いあさった。


悲劇は、その日の夕方に発生した。


時は、夕方5時半頃であった。


ところ変わって、いよてつ郡中駅のすぐ近くにあるロフティ(マンション)にて…


銀次が部屋に入った時であった。


家の中に、不審な男が侵入していた。


「なにしよんぞ!!」


不審な男は、タカヤだった。


タカヤがナイフを持って銀次に襲いかかった。


「死ねや!!」


銀次は、必死になってナイフ攻撃をかわした。


その後、銀次とタカヤがベランダでもみ合いになった。


その末に…


「ワアアアアア!!」


銀次は、タカヤをベランダから突き落とした。


タカヤは、落下した地点に置かれていた鋭利なものに刺されて死んだ。


それから60分後…


銀次は、駆けつけてきた警察官8人に殺人の容疑で逮捕された。


次の日の朝7時5分頃であった。


ところ変わって、灘町の和風建築の家にて…


あやみは、台所で朝ごはんを作る準備をしていた。


そこへ、エコバッグを持った近所の奥さまが勝手口から入ってきた。


奥さまは、朝市ヘ向かう途中で立ち寄った。


「奥さま。」

「あら、ご近所の奥さま、おはようございます。」

「おはよう…あんたのオシュウトさんはいてはるかしら?」

「義父さまは、まだ寝てますけど…」


奥さまは、イヤミを込めてあやみに言うた。


「自分の身内がケーサツにしょっぴかれたと言うのに、ノンキやねぇ~」

「奥さま、それはどういうことでしょうか?」

「あんたのオシュウトさんとオシュウトメさんが甘やかすけん、オイゴはつけ上がったのよ…目の中に入れても痛くないヒトツブ種のオイゴを甘やかすけん、ケーサツにしよっぴかれたのよ…」


奥さまは、ひと間隔置いてからあやみに言うた。


「あんたのオシュウトさんのヒトツブ種は、1ヶ月前に就職したってね。」

「ええ…JAの選果場だけど…ちょっと…気になることを聞いたのよ…銀次くん…出勤したのは…たった…2日だけ…って…」


あやみがものすごく言いにくい声で言うたので、奥さまはあきれ声で言うた。


「そう言うと思ったわよ…」

「銀次くんは、最初に就職したところをタイグウ面が悪いことを理由に…やめたのよ…それからシューカツしたけど…不採用の山が続いて…」

「不採用の山が続いたから、茂西の家を頼ったと言うことね。」

「だって、他に頼る人がいないのよ…」

「ほやけん、銀次はアカンのよ…小さなことからコツコツと地道に積み上げて行こうと言う気持ちがないけんアカンのよ…あんたのオシュウトの妹さんは、どこのどこまでドアホかしらねぇ~」


奥さまは、ひと間隔置いてからあやみに言うた。


「あっ、話を変えるけど…例の事件で殺された蛤さんのクソボケセガレが…ホーコー(学校から追放される)になったわよ。」

「えっ?タカヤくんが学校をクビになったって?」

「そうよ…くわしい理由はわからんけど…まあ、奥さまがよその男とフリンしよったことが原因だったと思うよ。」


奥さまは、あやみに決めつけ言葉を言うたあと、蛤さんの家のご家族の悪口をボロクソに言いまくった。


その後、エコバッグを持って朝市に買い出しに行った。


あやみは、ボーゼンとした表情で奥さまの背中を見つめていた。

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