悪役令嬢ですが前世で推しの当て馬王太子は私が絶対守ります!

@karamimi

第1話 大好きな漫画の悪役令嬢に転生してしまったようです

あれ…この顔どこかで見たことある?悪役令嬢のエイリーン?あれ?


ふと鏡に映る自分を見たとき、思い浮かんだ言葉。


燃えるような赤い髪、ちょっと吊り上がったエメラルドグリーンの瞳。


そうだ!この顔は間違いなく、私が好きだった漫画、「聖なる愛はあなたのために」に出てくる、悪役令嬢エイリーンだ!


私はこの瞬間、日本人として生きていた雨宮リンの時の記憶、すなわち前世の記憶を取り戻した。私こと前世の雨宮リンはとにかく漫画が大好き。特に「聖なる愛はあなたのために」という漫画にはまっていて、何度も何度も読んだ。まさか大好きな漫画の登場人物に転生するなんて、神様!ありがとう!!


んっ?でも待てよ。


私が転生したのって、悪役令嬢のエイリーンよね。


エイリーンと言えば公爵令嬢なのをいいことに、王太子の婚約者になり、王太子と仲良くなったヒロインをそれはそれはいじめに苛め抜き、最後に毒殺しようとしたところを王太子たちにバレ、逆にその毒で処刑される役どころ…


「なんて役に転生してしまったんだ!!!」思わず叫んでしまった。



コンコン


「お嬢様、どうなされました?大丈夫ですか?」


控えめなノックと共に専属メイドのアンナが入ってきた。


少しくせ毛だけれど美しい茶色の髪に、グリーンの瞳をしたアンナは、13歳の可愛らしい女性だ。一応貴族の娘だが、実家が経済難のため公爵家でもある我が家へメイドとしてきている。


そんなアンナは少し震えていた。


今までの私なら、有無も言わず怒鳴り散らかしていたんだから、アンナが怖がるのも無理ないわよね…


「大丈夫よ、少し眠いだけだから一人にしてちょうだい」


私は出来るだけ優しい口調で伝えると、一瞬大きく目を見開いたアンナだったがすぐに我にかえり、「失礼しました」と頭を下げて出て行った。


処刑される悪役令嬢に転生してしまったのはショックだけれど、大好きな漫画の世界を堪能できるのはある意味ラッキーなのかも


そう、私の前世のとりえと言えばこの異常なまでのポジティブ思考!


でも処刑されるのは嫌だ、とにかく今自分が置かれている状況をゆっくり整理し、今後の作戦を考えねば!と、決意を新たに紙とペンをとったのだった。

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