第3話 茜の日常
「学校、今日もいきたくないな……」
手首にバーコードの様な無数の切り傷とその他の青あざを眺めてため息が出た。
ぼーっと、壁に掛かっている時計に目をやると、
時刻はお昼の1時。親が心配するから、遅刻でも行かなきゃ。そう思って支度を始めた。
「行きたくないなら行かなきゃ良いのに。」
もう声の主は誰だか分かる。
「どうしてここにいるの?昨日の話聞いてた?」
もう関わり合いたくなかった。死を連想させる神
のくせに殺してくれない役立たずな死神だ。
「わ、その傷どうしたの?痛そうだね。」
相変わらず人の話は聞かないのね。
「こっちのバーコードは自傷、青あざはいじめ。」
シオンはそれを見て暫く苦い顔をしていたが、言いにくそうに口を開いた。
「あの日の事故は茜のせいじゃないよ。雨が降ってたから、視界が悪かったんだよ。だから、自分を責めないで。」
私は驚きを隠せなかった。
「なぜ、死に関われない死神があの事故のことを知っているの?」
シオンは謎多き死神だ。いや、死神って存在自体謎だけど、あの事故が私に関わりあることと、事故の詳細を知っていることが不思議でならなかった。
そんなこんなで支度が出来たので学校へ向かう。
足取りは重く、ゆっくりだが、ゴールはいつか来るものだ。
第1関門は下駄箱、今日はなんだろう。
下駄箱を開けた途端、大量の画鋲が落ちてきた。
「ふっ、まさに針のむしろ。」
いくつかの画鋲が手に当たって引っ掻き傷ができた。
大量の画鋲をゴミ箱に捨てた後、第2関門が待っている。廊下と階段。
ここは1番といっていいほど危険。
階段は手すりがないと上がれない。今日は椅子が落ちてきた。避けきれずに足が引っかかって、階段から落ちた。まだ上のほうまで上がってなくて良かった。
「まだ生きてんの?瞬くんはアンタのせいで死んだのに。」
私だって、知りたい。どうして、私は死ねないのか。なんで、瞬が死ななきゃ行けなかったのか。
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