第10話

 俺は『翼竜の翼』のメンバーに連れられる形で、冒険者ギルドから出て、冒険者ギルドの裏側の方面へと歩いていた。


 すると、メンバーの足が止まった。

 緑色の髪で、シーフのサリネが


「ソウター、着いたよー」

 と、到着を知らせる。



 すると、そこは廃墟のようにボロボロで、店とは思えない程薄暗い、気味の悪い所だった。


『翼竜の翼』のメンバーは、何も訝しがらず、カフェに入るような感覚で、中へと入って行く。


 中に入ると、そこには剣を初めに、槍、盾、弓、鎧、などの様々な防具が陳列してあった。


 そして、俺はアイテム鑑定を発動させていて、武器防具を鑑定した。


 鑑定の結果に思わず、「これは凄い」と感嘆の息が漏れる。


 というのも、どの武器防具に関しても等級がかなり高かったのだ。

 その理由として考えられるのは、加工者が素晴らしい腕の持ち主であるということだ。


 すると奥から小さなズングリムックリの男が歩いて来た、そして開口一番に、


「お前みたいなヒョロガキに儂の子たちの良さなんてわかるもんか。適当な事抜かすと締め出すぞ、こら」


 俺は見た瞬間に、これらの武器を作ったのがこの人物である事を悟った。

 というのも小さくてズングリムックリ、そしてさらには鍛治上手。

 この人物はあの種族ドワーフだった。

 俺はエルフに続いて、ドワーフが出て来たことに感動を隠せない。

 そして、この旦那のように一本筋ではいかないところも中々興奮する要素だった。


 そんな旦那を『翼竜の翼』のメンバーが取りなしてくれる。


「おぉ、ケインたちの新しい仲間じゃったか? こりゃあすまんかっのう。だが、武器の前で適当な事をいうのは良してくれ」


 そういうドワーフの旦那。

 そんな態度の旦那にケインが申し訳なそうにして、


「ごめんな、ソウタ。このドワーフ、ガインさんっていうんだが、武器の事になると煩くてな。だが、ガインさんの武器は良い奴ばっかりなんだ。だから許してくれ」


 俺はそう言われてひたすら良い剣と良い防具を探し求めた。


 探している最中、皆も手伝ってくれるようで、サリネが


「これなんかどうー?」


 と鉄製の剣を俺の元へと差し出してくる。

 それを俺はアイテム鑑定で確認する。


_________________________________________


【アイテム:鉄製の長剣】

<等級> 銅級

<品質>高品質

_________________________________________



 鑑定結果から言わせれば、かなり上等な物だった。


「この長剣はいくらでした? 値段によってはこれにしようかと」


 サリネは置いてあった場所へと戻り、値段を確認する。


「うーんと、銀貨15枚って書いてあるよ」


 銀貨15枚か、日本円にすると15万円。

 だが、どの剣を見ても相場はそれくらい。

 ジャージのおかげで、資金はある程度あるので、俺はサリネが選んでくれた、鉄製の長剣を買おうとした。


 その時、俺はふと目に入ったものを鑑定してしまった。


 目に入った剣は、これでもかというように錆が目立っていて、ボロボロそうな剣であった。

 だけど、鑑定結果によると、



_________________________________________


【アイテム:魔鉄の長剣】

<等級> 銀級

<品質>最高品質

_________________________________________



 と表示されていた。

 そして、値段を見てみるとなんと銀貨10枚と記載してある。


 俺は迷わず、魔鉄の長剣を持ち上げて、サリネが選んだ長剣を元のところに置いた。


 俺は魔鉄の長剣をガインさんの元へと持って行くと、ガインさんの表情が変わった。


「おい、お前、名前はなんていう?」


 ガインさんの豹変に、驚きを露わにする『翼竜の翼』のメンバーと俺。

 俺は少し動揺しながらも


「はい、ソウタといいます。今日、冒険者登録をしたばかりで、暫くは『翼竜の翼』のメンバーとして活動して行くつもりです」


 ガインは緊張した面持ちを維持したまま、


「そうか、ソウタというのか。それで何故この汚い剣を選んだ? もっと綺麗な剣は沢山あっただろ?」


 俺は問い詰めるドワーフのガイン。

 俺はアイテム鑑定で確認しました、というのは良くないと思ったので、


「ただこの剣が良い剣でしたので、それにこんな良い剣なのに安い。となると買うしかなくないですか?」


 そう言うと、ガインさんは真剣な眼差しで俺を見つめ、そして次の瞬間。



「ガハッハハハハハ。よーし、気に入った!お前さんはどうやら本当に剣を見る目があるようじゃな!」


 ガインさんは突如、破顔して俺の肩をバシバシと叩く。

 

 そんなガインの様子に驚くばかりの『翼竜の翼』


 そして、俺は魔鉄の長剣と、動きやすいように鎖帷子を探し当てて購入した。


 帰り際、ガインさんが「武器や防具で困ったら真っ先に俺のところに来い! 何とかしてやる」と言ってくれた。


 俺が結局、購入したのは



_________________________________________


【アイテム:魔鉄の長剣】

<等級> 銀級

<品質>最高品質

_________________________________________


_________________________________________


【アイテム:魔鉄の鎖帷子】

<等級> 銀級

<品質>最高品質

_________________________________________


 

 の2つである。


 俺は2つを装備をすると、

 



『アイテム鑑定を発動しました。


【アイテム名:魔鉄の長剣】


 の装備を確認しました。

 

 さらに、【#固定能力付与__スーパーエンチャント__#】により、装備する物に特定の能力付与が出来ます。

 只今、使用許可が下りている能力は以下。


【不壊】【斬撃強化Lv.1】【武器破壊】【身体強化Lv.1】 それに加えて、【形態変化】【炎纏】』


 

 何故か、『紅魔剣』の効果が使えるようになっていたが、色々とばれそうだったので、以前と同じ付与だけをしておいた。



_________________________________________


【アイテム:魔鉄の長剣】


『固有能力付与』


 効果


【不壊】【斬撃強化Lv.1】【武器破壊】【身体強化Lv.1】


_________________________________________





『アイテム鑑定を発動しました。


【アイテム名:魔鉄の鎖帷子】


 の装備を確認しました。

 

 さらに、【#固定能力付与__スーパーエンチャント__#】により、装備する物に特定の能力付与が出来ます。

 只今、使用許可が下りている能力は以下。


【不壊】【物理攻撃半減】【魔法攻撃半減】【身体強化Lv.1】』


 _________________________________________


【アイテム:魔鉄の鎖帷子】


『固有能力付与』


 効果


【不壊】【物理攻撃半減】【魔法攻撃半減】【身体強化Lv.1】


________________________________________


 

 ドワーフのガインさんの店を出る時、ケインに「お前、どんな魔法使ったんだ?」と聞かれたが、「さぁ?」と返しておいた。

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