第四十四話「樹形図」

 ノアの説明によると、現状、ステータスは大きく5つに分けられるという捉え方が定説となっているらしい。


 それは<HP(生命力)><DEF(防御力)><STR(力)><AGI(敏捷性)><MP(魔法力)>の5つだ。


 その他のステータスはこの5つから派生していると考えられていて、例えば<HP>から派生した<STA(体力)>、<DEF>から派生した<WIL(意志)>、<AGI>から派生した<EVA(回避)>や<DVA(動体視力)>などがある。


 また、その派生には段階があり階層が深まるほどそのステータスを上げるのは難しいとされている。

 <AGI>の派生を例にすると<EVA>は第一階層にあり、<DVA>は第三階層にある。


 スキルボードにより自由にステータスを上げられる俺はこの点で言うと有利なのかもしれない。



 また、<ATK(攻撃力)>は少し特殊で元々は<STR>の派生だと考えられていたのが、最近になって<HP>や<AGI>などのステータスもかなり密接に関係している事が証明されたらしい。


 たしか俺のスキルボードでは<STR>を直接上げることはできず、<武器スキル>にポイントを振ることで%上昇した気がする。


 将来的に[武器熟練度による<STR>の上昇について]なんていう論文を出してみるのも面白いかもしれない。


「ステータスについてはこんなもんか!」

「お前は<AGI>はまぁまぁだが、とにかく<HP>と<STR>が低すぎる!」

「裏の運動場はいつでも使えるから筋トレしろ!!!」

「それと、<MP>に関してはこの国で魔法を使える奴はいねえから、あまり考えなくていいぞ!」

「最近アプレディメントっていう町で一つ論文が発表されたが、魔法の研究はほとんど進んでないからな!!」

「そしたら次にモンスターの生態について話すぞ!」

「この辺は巻いて話すから聞き逃すなよ!!」


 ノアはホワイトボードに書いてある樹形図を消し、そこに犬?の絵を描き始めた。



 ノアの図と説明によると、モンスターは頭部に幻崩核(PCC)があり、それが体内の器官の全てを担っているらしい。

 その証拠にモンスターの体内はPCC、骨、筋肉、血管のみで構成されており、内蔵が存在しない。


 モンスターを殺す方法は2通りあり、<HP>を0にするかPCCを壊すことだ。

 また、モンスターの<HP>は身体の大きさと相関があるらしく、身体が大きければ大きいほどPCCを壊す方が楽らしい。


 また、モンスターが死ぬとその身体は溶けてしまうのだが、それはPCCと繋がっている箇所だけらしく、その前に切り離された部位は物質として残り続けるらしい。


 なので、モンスターの素材を得る依頼の場合は、まず頭部と身体を<HP>を0になる前に切り離し、その後PCCを壊す必要があるため、小型のモンスターの頭部付近の素材はかなりの高級品となっている。



「これで一応、講義はおしまいだ」

「なにか聞きたい事はあるか?」


 一通り話し終わったノアは近くにあった椅子に腰を下ろした。

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