第54話 我を失った魔人
真っ黒の液体は大きくなり、カルデの体を飲み込んだ。溶け込むようにカルデの体に馴染むと、
「バッ」と勢いよく起き上がると、
「ニヤッ」と目を燃えるような真っ赤に染めながら笑みを浮かべた。レイの頭の中の声が聞こえなくなり、周りがちゃんと見えるようになると、
「壊す」とカルデの体が低い声で呟いた。レイはまた寒気に襲われた。するとカルデの体は
「ポウ」と黒い光を指先に灯した。そして、
「フッ」と光に息をふくと、目をつぶる暇もないほどの一瞬で周りにいた人の命を奪った。空気が灰色に染まるように薄汚れ、息苦しくなり、急に涙がボロボロと流れ始めた。原因不明の怒りが溢れ始め、レイの黒い目が銀色に輝き始めた。カルデの体は天井を貫き、大きな光をいたるところに飛ばし、夢を破壊し始めた。
「ドゴォン!」
「ドォォォン!」といたるところから大きな音と風が吹いてきた。その中で、誰かが泣くような、叫ぶような、悲鳴が聞こえたような気がした。
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