第31話 魔王

右目はほんのりと金色が散っていて、左目は黒地に赤色だった。騎士たちは手に持っていた剣や盾を構えた。

「お前は・・・」ティルジン王はシクマの目の色を見て驚いた。するとシクマは右手を左からの右に、壁を撫でるように動かし空気を握ると、シクマの前にいたカギラス、ザカディー、ケイグ、ジィサ、シーヤ、カルデ、レイの7人は一瞬で姿を消した。

「何故お前がここにいる?」とティルジン王はシクマに聞いた。

「牢獄に入れたのはあなたですが?」

「もう死んだものと思っていた・・・」

「私はそんなに弱い魔王に見えるのですか?」

「いや、そういうわけではないが・・・」

「まぁ、魔王が牢獄にいるなんてことは下っ端の兵士に馬鹿にされそうだから、記憶を消して代わりに シクマ ということにしただけです。なのであなたの耳に魔王の情報など入るわけがありません」とシクマはさらっと言った。

「・・・そうか。どうして奴らを他の場所へとやった?」

「・・・フフッ面白そうなことが起きる予感がしたので、ここで消されては困ると思いまして」とシクマは企みを浮かべた笑顔をした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る