世紀末の世界に迷い込んだけど頑張ってスローライフおくります。

MrR

それはきっと救いのものがたり

 どうも狹山 ヒロトだ。


 廃墟と化した中流住宅街に住み付き、どっかのゲームで見たことある腕のデバイスのオーバーテクノロジーで色々と建設したり冷蔵庫に手足くっつけたようなパワードスーツに身を包んで農作業や狩りを送る日々。


 最初は色々と悲観していたが、元居た世界での事を思い出すとここでの暮らしも悪くないと思い始めた。


 なにしろ元の世界の生活は最悪だった。


 家でも居場所はなく、学校でもそうだった。

 

 なんのために生きているのか分からなかった。


 この世界に最初迷い込んだ時はあの世に来たと思った。


 もしくは地獄か。


 だがここがあの世だとしても、とても住み心地がよい。


 資材さえあれば腕の端末のオーバーテクノロジーで色々と建設できるし、野菜もタフで生長スピードも凄く早い。


 不便ではあるが快適だ。


 自由だ。


 自由と言うのは自分自身の意思で行動を選択できる事だと言うのをこの世界で知った。


 誰かの顔色を伺う必要もない。


 将来を心配する必要もない。


 イヤな言い方だが死ぬ時は死ぬのだから。



 自分にはペットもいる。


 茶色い犬だ。


 品種は分からない。


 名前はマックスにした。 


 マックスはとてもお利口さんだ。


 仲良くなるのにも時間は掛からなかった。


 気がつけば大切な家族の一員になっていた。

 


 ここにはよく人が訪れる。


 行商人の赤毛で褐色肌のお姉さん、シンディさん。

 谷間を丸出しにして作業着の格好をしている。

 最初見た時は顔は真っ赤になっていたと思う。ドキドキした。


 装甲車に乗ってスター○ォーズに出てきそうな白いレトロチックな、コンビニの入り口の傍に置いてあるゴミ箱に手足くっつけたような護衛のロボット「アンディ」と一緒に彼方此方で物の取引をしているらしい。


「いつも食べ物とか水とかありがとうね」


「どういたいしまして」


 この世界の通貨はコイン。


 それでやり取りしている。

 

 だが物と物を交換するぶつぶつ交換も有効だ。


 自分は水と食料を提供し、シンディさんはその他の品物を色々と融通する。


 そう言う関係である。


 自分を高く買ってくれているのか、パワーローダーやらミニガン、その弾丸やらをくれたのもシンディさんだ。


「ここで一人で住んで大丈夫なの?」


「色んな人が聞いてくれるから寂しくない」


「そう。コインは頂くけど人が居る場所に運んであげるわ」


「わかった」


 シンディさんなりの優しさなのだろう。

 だがもう暫くは今の生活を続けたい気分だった。



 起きて、食って、働いて、休んで、食って、働いて、休んで、食って、休んで寝る。


 それだけの一日。


 それだけの人生。


 だけど自分にとってはすばらしい人生。


 ずっと続けばいいのにと思う。 

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