第22話

 一週間後、いつもの会議室にいつものメンバーが集まっていた。


 皆一様に疲れた顔をしている。


「フウ...皆さん、お忙しい中お集まり頂きありがとうございます...」


 アズミが元気無く切り出す。


「さて...あのクサレ王女を始末する方法ですが、誰か何か良い案はありませんか?」


「あ、アズミ! 言葉には気を付けて...」


 ハインツは慌てた。誰がどこで聞いているか分からない。国際問題に成りかねない発言は不味い。


「あぁ、失礼しました...ちょっとやさぐれていたもので...まずはカズミ、何か分かったことはあった?」


「はい。これは正式に発表された訳ではなく、あくまでも噂なんですが、あのビッチ王女が海洋諸国連合に留学していた目的は、勉強よりも寧ろ婿探しがメインだったようなんです」


「か、カズミ! 言葉遣い!」


 マインツが慌てて嗜める。カズミは知らん顔している。


「婿探し? それで上手く行ったの?...って聞くまでもないか。失敗したから今度は我が国に来たってところなのね?」


「はい、恐らくですが」


「それでターゲットロックオンされたのがワインツ様と。ナズミ、どうだった? 大丈夫だった?」


「は~い、ちゃんとあのメス犬王女の毒牙からワインツ様をお守りしましたよ~」


「な、ナズミ! それはいくらなんでも...」


 ワインツが慌てて宥める。ナズミは聞こえなかったフリをする。


「そう、良かったわ」


「ただですね~ あの王女様、去り際にちょおうっと気になることをホザいてたんですよね~」


「どんな?」


「ん~とぉ...確か『アンタ達が幸せになってアタシだけが不幸になるなんて許さないわぁ!』とかなんとか~」


「な、なによそれ! 完全な逆恨みもいいとこじゃないのよ! あんの売女王女め!」


 タズミが激昂した。今にも飛び出して行きそうだ。


「た、タズミ! お、落ち着いて...」


 ラインツが慌てて止める。


 カチャカチャ...カチャカチャ...


「あ、あの...アズミさん!? な、なんで急に銃の手入れを始めたんですかね...ってかその銃どうしたの!?」


 ハインツは恐る恐る尋ねる。


「あら? デリンジャーを携行するのは淑女の嗜みでしてよ?」


 アズミがシレッとそんなことを言う。絶対ウソだと思ったがハインツは怖くて何も言えなかった。


 カシャン...カシャン


「さ、サズミ!? レミントンはいくらなんでも不味い! 一体どこから出したんだ!?」


「ヤインツ様ったら。レミントンは乙女の嗜み」


「んな訳あるかぁ!」


 もう収拾がつかなくなって来た...

 



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