第17話
まずなぜ男爵とホヘット嬢が二人で逃げようとしたのか?
ということに言及されると、どうやらタレコミがあったらしい。自分達の罪が明らかにされそうになったことを知って、これは逃れられないと判断し隣国に亡命を図ろうとしたらしい。
なるほど、それなら納得できる。だがなぜ男爵家の他の家族、夫人や息子と娘を置き去りにしたのか? それに関しては呆れた理由があった。
なんと男爵は、夫人と実の息子、娘を生贄にしたそうだ。いつ家宅捜索の手が入ってもいいように彼らを薬漬けにし、正常な判断ができないようにした。
罪を全て彼らに着せて、自分達はその間に逃げる算段だったらしい。胸が悪くなるような話だが、元々家族との仲は冷え切っていて、愛しているのはホヘット嬢ただ一人だったとのこと。
その「愛している」は家族愛では無く、男女の関係という意味の「愛している」である。ホヘット嬢が男爵の婚外子でないことは知っていたから、アズミ達の驚きは少なかったが、本物のホヘット嬢の死因に関する真実が、ナズミの考察ほぼそのままだったことに関しては驚いた。
そして隣国との関係に関しても、予想通り四大公爵家の中で一番タカ派と言われている家と繋がっていたことが明らかになった。
その目的もクーデターを企てているということが間違いないと判明したので、すぐさま隣国に連絡を入れた。後日、クーデターを未然に防げたとのことで、隣国から感謝状が届いたらしい。隣国の四大公爵家は一つ減って三大公爵家に名前が変わったそうな。
クーデターを未然に防いだだけでなく、もしクーデターが成功していたら、次は我が国をターゲットにするつもりだったと。後に聞かされたアズミ達は肝を冷やした。
男爵家は取り潰しとなった。薬物依存となった男爵家の家族達は更正施設に入れられた。罪に問われるのは薬物が抜けた後になる。
男爵と偽ホヘット嬢(本名はイロハというらしい)は、国家反逆罪及び禁止薬物不法所持、殺人に不敬罪その他もろもろ合わさって、当然ながら極刑が言い渡された。
市中引き回しの上、さらし首となった。
こうして一連の事件に幕が下り、学園に平和が訪れた...はずだった...
ある日、いつもの会議室にいつものメンバーが集まっていた。アズミは全員を見渡した後、いつものようにこう言った。
「...では皆さん...話し合いを始めましょうか...」
その顔は心労からなのか疲れ切っていた。
一体何が起こったのだろうか...
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