名古屋港

 翌日の朝7時。


「おはよー」

 呼びかける声に、僕は目を開けた。


「あ…、おはよう…」

 僕は眠気を堪えなかがら、身を起こした。


「ええっ!?」

 僕は、人の気配に驚いて、横を見た。なんと真帆が僕のベッドの中で寝ているではないか!

 真帆は僕のほうを見て笑っている。


 僕は驚いて尋ねた。

「な、な、何でここで寝てるの?!」


「ひどーい。昨晩のこと忘れたの?」


「はあっ?! なにも覚えてないし!」


「純ちゃん、昨晩はあんなに激しかったのにー」


「いやいやいやいや、何言ってんの?!」


 そうか。また、くだらないいたずらを仕掛けて来たんだな。

 部屋のドアの近くでは、宇喜多さんと竜造寺さんが笑ってスマホをむけている。


「ちょっと! ちょっと! 写真撮らないで!」


「写真じゃないよ。動画だよ」

 宇喜多さんが言う。


「もっと悪いよ!」


「もう。純ちゃんって、いつも女の子と寝てるのに、ぜんぜん慣れないんだね」

 真帆も身を起こしながら言った。


「いやいやいやいや、まったく寝てないから慣れてないんだよ」


 上杉先輩がいたずら仕掛けないように言ったら、今度は真帆か。

 まったく、どういうつもりなのか。

 僕は女子たちを部屋から追い出して、帰る準備をする。


 ともかく、今日はライブもなく、東京に戻るための “ぷらっとこだま” は、午後の出発だ。

 という訳で、名古屋観光をしようと言うことになっている。

 ホテルのレストランで朝食を取りながら、どこに行くか相談をする。

 僕は、どこでもいいので、女子たちが行く場所を決める。


 名古屋城は昨年、歴史研で行った。

 なので、別のところにしようということで相談した結果、名古屋港水族館に行こうということになった。

 ホテルのある栄駅から、水族館のある名古屋港駅までは、地下鉄名港線で乗り換えなしで約20分で行ける。


 一行は、名古屋港水族館に到着。チケット代は1人2030円で購入し入館。

 館内では、ペンギンとかシャチとかイルカとかベルーガとかウミガメとか、いろんな海の生き物を鑑賞する。

 真帆はアザラシが好きだというので、特に熱心に見ていた。

 館内を見て回る時、僕の右側に真帆、左側に毛利さんがずっと陣取っていたのを、上杉先輩がニヤつきながら時折り茶々を入れて来る。

 そして、水族館のお土産コーナーで、妹にお土産を買う。


 名古屋港水族館の隣には、南極観測船「ふじ」が係留され一般公開されているというので見学。

 さらに、名古屋港ポートビルという建物があって、7階の展望室から名古屋港を一望できる。3階と4階には名古屋海洋博物館があって見学した。


 そんなこんなで、昼過ぎには名古屋港を後にして、名古屋駅までやって来た。

 名古屋駅で、遅い昼食を取って、“ぷらっとこだま” で東京へ向かう。

 新幹線の座席は、行きとは違う組み合わせで座った。

 伊達先輩は志望大学が面影橋大学ということで、そこの生徒の徳川さんと2人席に座っていろいろ情報交換をしているようだった。


 上杉先輩は、O.M.G.の宇喜多さん、竜造寺さんと3人席で、アイドルの話とかギャルメイクやギャルファッションなどの話で盛り上がっている。


 僕はと言うと、3人席で真帆と毛利さんに挟まれて両手に花で座っている。

 なんだ、この状況は…。

 真帆が、いろいろと話しかけて来る。たまに毛利さんも話しかけて来た。

 そして、真帆から今回のライブ手伝いのバイト代をもらった。


 2時間40分で、こだまは東京駅に着き、ここで解散となった。

 僕は地下鉄を乗り継いで帰宅した。

 今回の旅も疲れた。僕は自室のベッドに身体を投げ出した。


 そして、少し考える。

 歴史研としては、1年生のうちに50の城を回ると言っていた。

 確か43つ回っているはずだから、あと7つ。

 3月の春休みに7つも回るのだろうか。

 まあ、細かいスケジュールは伊達先輩にお任せしよう。


 疲れているが風呂入ったり、妹にお土産をあげて、もう寝ることにする。

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