高取城(日本100名城 No.61)
翌日。
今日は、高取城の1つみの訪問となっている。
というわけで、出発はいつもより遅い時間。朝はゆっくり目に起床。
一同は、旅館の食堂で朝食を食べてから、一旦部屋に戻って、しばらく出発までくつろいでいる。
僕は、ちょっと気になっていたことを雪乃に尋ねた。
「雪乃、来年の生徒会長選挙に出るんでしょ?」
「もちろん、出る予定」
以前、出馬すると言っていたからな。その意思は変わっていないようだ。
そもそも、現会長の伊達先輩とコネを作るために生徒会役員になったわけだから出馬しないとなれば役員を辞めてるだろう。
僕と雪乃の会話に伊達先輩が割り込んで来た。
「あら、そうなの?」
「ええ! なので、そろそろ、出馬の準備をしようと思っています!」
「かなり早いと思うけど、早めに準備するのは良いことだと思うわ」
伊達先輩は選挙戦についてアドバイスを始めた。
雪乃は時折、質問などもして、伊達先輩の話を熱心に聞いている。
さらに伊達先輩は、前回の選挙の時の謀略について、いろいろ話す。
今の生徒会役員たちに手伝ってもらったり、新聞部と協力して情報操作とか、風紀委員とも連携したとか。
僕を謀略に掛けてダシにしたという話は、避けたようだ。
僕が居たから遠慮して話をしなかったのかどうかはわからないが、ともかく思い出したくない話だ。
思い出してしまったけど。
そんなこんなで、出発時間になったので、旅館を出た。
地下鉄を乗り継いで移動し、天王寺駅まで。
そして、徒歩数分で近鉄の大阪阿部野橋駅までやって来た。
ここからは、途中1回乗り換えをして壺阪山駅まで移動する。
壺阪山からはバスを使って壺阪寺まで。
高取城まではさらにそこから徒歩で約1時間程かかるらしい。
徒歩が長いのが気になるが山城だから仕方がない、諦めて歩く。
今日は余裕があるので、目的の高取城の前に、バス停の終点にある壺阪寺も見学することになった。
壺阪寺。
正式名称は南法華寺で、壺阪寺は通称とのこと。
入山料600円。
インドで作成されて、日本で組み立てられたという大観音石像、大涅槃石像など多数の仏像があって見ごたえがあった。
1時間ぐらい見学して、いよいよ高取城へ向かう。
案の定、長い上り坂をどんどん進む。
結構キツい。昨日の千早城を超えるキツさだ。かろうじて舗装されている道路なので、足元は悪くない。
途中休憩をするが、座る場所がないので、仕方なくガードレールに腰かけたりする。
途中からは、舗装なしの山道になった。
1時間弱移動してきて、何とか高取城跡に到着。
かなり疲れた。
高取城。
1332年。南朝方の越智邦澄が築いたのが始まりと言われる。
一度廃城となるも、1584年、筒井順慶によって再建。
翌年、筒井順慶に代わり本多利久が城主に。1589年には城の改修がされる。後に、利久の子の俊政が高取藩初代藩主として城主になる。
明治維新後の1873年に廃城。
高取城は「日本三大山城」と言われているものの1つだそうで。
ちなみに、他の2つは、備中松山城と岩村城。これらは両方とも100名城に入っているので、未訪問だが、そのうちに訪問することになるのだろう。
城跡に設置されているベンチで、みんなで座って休憩をする。
少し長めに休んだ後、来た時の道とは別のルートを使って下山する。
そのルートは駅まで全て徒歩だが、下りなので大丈夫だろうという判断。
山道を下山。街中に到着。
そこは高遠城の城下町で、今も古い町並みが残る土佐街道があった。
途中で遅い昼食を取ったり、土産物店を見たりした後、再び壺阪山駅にやって来た。
まだ午後4時だったが、高取城の登山が大変だったので、早く旅館に戻って休もうということになった。
本当に大変だった、今日のお城巡りは1つだけで良かったよ。
旅館に戻って、女子たちは帰りコンビニで調達した食料とかお菓子と食べながら談笑している。
僕は、居づらいので、ご飯を食べた後は昨日と同じようにロビーに移動してソファで休んでいた。
しばらくすると、伊達先輩がつかつかと歩み寄ってきた。
「武田君」
「はい、なんですか?」
「明日、織田さんの誕生日でしょ?」
「ええ、そうですね」
「サプライズでケーキでも買ってお祝いしてあげたいのだけど」
「いいですね」
「じゃあ、ケーキは明日のお城回りのあと、買ってくるわ。夜にお祝いするから、そのことは内緒でね」
「わかりました」
そういえば、歴史研のメンバーは僕の時も祝ってくれたな。
しかし、彼女らはサプライズとか好きだよな。
僕も先日買ってきたプレゼントを持ってきている。妹が選んだ夢の国のキャラクターのぬいぐるみの小さいやつ。
織田さんは、喜んでくれるかな?
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高取城の情報
https://sightseeing2.takatori.info/takatorijyou-d/
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