上田城(日本100名城No.27)

 次の目的地は、上田城。

 再び「週末パス」を使って、しなの鉄道で移動。

 小諸駅から上田駅までは、たったの20分。

 電車を降りて、駅前広場へ。

 上田駅の駅ビルには真田の六文銭が描かれていた。


「真田家の家紋が六文銭ってなんで?」

 上杉先輩が僕に質問してきた。


「六文って、死後、三途の川を渡るときにかかる運賃だとか。真田家が家紋にしたのは"死をいとわない覚悟で戦う”という意味でだと。確か」


「ふーん。六文って今のお金だと、いくらぐらいなんだろうね」


「さあ?」


 そこへ伊達先輩が割り込んで来た。

「大体300円ぐらいらしいわね」


「安いね」

 上杉先輩がなんか嬉しそうに言う。

「往復できちゃうじゃん!」


「三途の川を往復したら、生き返っちゃいますよ…」


 そんな、アホな会話をしつつ移動。

 上田城までは駅から徒歩数分。

 今回も駅チカで助かるなあ。


 上田城。

 1583年。真田幸村の父、真田昌幸によって築城された。

 関ヶ原合戦後の1601年に城は破却されるが、仙石忠政によって1626年に再建される。その時の建てられた西櫓が現存している。


 付近は現在、上田城跡公園として整備され、眞田神社や上田市立博物館などがある。


 上田城本丸跡に建っている眞田神社は、上田城が徳川家の攻撃に2度も耐えて、陥落しなかった(落ちなかった)ということで、受験生の合格祈願、学業成就で有名らしい。


 その他のことも聞いてくれるらしいので、みんなでお参り。

 お賽銭投入。


 その後、僕は上杉先輩に尋ねた。

「何をお願いしました?」


「イケメンの彼氏!」


 想定通りすぎて、面白みがない。


 続いて伊達先輩に尋ねる。答えは、

「生徒会の運営がスムーズにいきますように」


 最近、不穏な空気が流れているからな…。


 最後に毛利さんにも尋ねた。

「秘密」


 相変わらずの秘密主義だ。


「キミは何をお願いしたのよ」

 上杉先輩が尋ねる。


「平穏な高校生活が送れますように、です」


「無理じゃない?」


 なんでやねん。


 妹が来年受験だから、合格祈願のお守りを買っていくことにした。お土産買って帰らないと怒るからな。

 妹も、家から近いから雑司が谷高校に行きたいと言っているが、受かるのか?


 そうそう、忘れそうだった。雪乃にもお土産で学業成就のお守りでも買って帰るか。

 女子にお土産で、お守りってどう思うだろう?

 まあ、いいか。

 歴史研のメンバーの意見は参考にならなさそうなので、あえて聞くことはしなかった。


 そして、上田市立博物館では鎧や刀などの展示があって、僕らはそれを見学。

 櫓と上田市立博物館の共通観覧料は500円。


 僕らは、上田城を後にして、近くのファミレスで昼食を取る。


 食事しながら、上杉先輩が絡んでくる。

「武田君さぁ、彼女とはどんな感じなの?」


「どんな感じと言いますと?」


「デートとかしてる?」


「まあ…、してますね」


「Hした?」


「してませんよ!」

 何を聞くんだ、上杉先輩。

「付き合い始めて、まだ1週間ですよ」


「そんなこと関係ない無いじゃん?」


「僕は、有るんです」


「今度、一緒にお城巡りとか行かないかなぁ」


「え? 織田さんがですか? 彼女は演劇部で忙しいから無理ですよ」


「そっか」


 それにしても、雪乃も一緒にお城巡りとか、何を言い出すんだ上杉先輩。

 何か、良からぬことを企んでいるに違いない。


 僕らは食事を終えると、次の目的地である松代城に向かう。


 ==========

 上田城の情報

 https://nagano-ueda.gr.jp/uedajo/

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