水戸城(日本100名城 No.14)

 土曜日。今日から月曜の体育の日まで3連休。

 3連休で歴史研の活動のお城巡りをする。

 今回は、水戸城、仙台城、多賀城、山形城、新発田城の5つを回る過酷なスケジュールとなっている。


 いつもの様に朝早く、午前7時に池袋駅地下のいけふくろう前に集合する。

 いつもなら早めに集合場所についているのだが、今回、僕はギリギリの時間に到着した。

 伊達先輩、上杉先輩、毛利さんはすでに到着している。そして、今回は取材ということで、新聞部部長の片倉先輩と部員が1人やって来ていた。

 その部員は女子だった。学校で見かけたことはあるような気がするけど名前は知らない。

「新聞部部員で、1年C組の小梁川こやながわ陽菜ひなです。よろしくお願いします」

 小梁川さんは挨拶をした。彼女は髪を肩ぐらいまで伸ばし、長めの前髪を赤いヘヤピンで止めている。そして、眼鏡をかけて地味な感じ。毛利さんにちょっと似ている雰囲気だ。

 それぞれ自己紹介して挨拶が終わると、早速、移動開始となった。


 今日は、“秋の乗り放題パス”というきっぷを使う。

 これは7,850円で、10月の指定された期間の連続する3日間乗り放題となるきっぷ。

 “青春18きっぷ”と同様に、在来線のみ利用可能で、新幹線や特急は利用不可となっている。

 僕らは、伊達先輩からそのきっぷを受け取り改札を入る。


 最初の目的地は水戸城。池袋~日暮里~水戸と移動する。

 日暮里~水戸の常磐線は追加料金でグリーン車を利用。約2時間かかるので、僕は寝ることにした。隣に座っている毛利さんは何やら本を読んだりしている。

 ほかの面子も話したり、スマホいじったり、寝たりして2時間を過ごす。


 水戸駅に到着。電車を降りる。

 時間は9時半の少し前。皆、朝ご飯を食べていなかったので、駅ビルで朝食をとることにした。カフェでモーニングを食べる。


 そして、駅の北口へ。

 北口には、水戸黄門と助さん、格さんの銅像があったので、皆、ちょっとテンション高めに写真を撮っている。上杉先輩は黄門様が入るように自撮りしている。

 小梁川さんは一眼レフの本格的なカメラで撮影をする。今回は彼女が撮影担当のようだ。片倉部長はスマホで少しだけ写真を撮っている。

 その後は徒歩で弘道館に向かって移動する。


 水戸城は鎌倉時代に築かれた館を佐竹義宣が改修。その後、さらに徳川頼房が改修した城だそうだ。そして、弘道館は水戸城の三の丸の場所に1840年に建設されたという。

 僕らは約10分かかって弘道館に到着すると、入場料400円を払って中を見学する。


 弘道館を堪能した後は水戸駅に戻る。

 水戸駅から仙台までは6時間近くかかるらしい。

 移動の前に駅ビルで、ゆっくりと昼食を食べる。


 食事中、片倉部長が話しかけてきた。

「ところで、武田君は歴史に興味があって歴史研に入ったのかい?」


「え? いや…、図書室でスカウトされて。最初は幽霊部員でもいいという話だったのですが、今は普通に参加しています」


「そうなんだ」

 片倉部長は笑って言う。

「それで、生徒会長選挙でも巻き込まれたんだね」


「まあ、そう言うことですね」


「巻き込まれて、結構、喜んでるんじゃない?」

 上杉先輩が根拠のないことを言う。


「喜んでませんよ」


「でも、結局、お城巡りも合宿も参加してるよね?」


「まあ…、そうですね」

 半ば無理やりな面もあるような気がするが。


「武田君は優しいから頼まれると断らないのよ」

 伊達先輩がフォロー(?)を入れる。


「お人よしだね」

 片倉部長はそう言ってまた笑った。

「新聞部でも何かお願いしようかな」


 いや、勘弁してほしい。


 そんな会話をして食事を終わらせると、僕らは再び電車に乗って移動を開始する。常磐線をどんどん北上し、水戸~いわき~原ノ町~仙台と移動する。

 仙台に到着すると、駅チカの安ホテルに泊まる。今回は男女別の部屋で、僕は片倉部長と一緒の部屋となった。彼には寝るまでに色々と話を聞かれた。新聞のネタにでもするのだろうか。


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 弘道館の情報

 https://www.ibarakiguide.jp/kodokan.html

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