勉強会~その2

 城めぐりの翌日は疲労困憊で、ほぼ1日寝ていた。


 さらに翌日、何とか体力は回復。午後から毛利さんの提案で勉強会があり、彼女が部屋に来るので、少し掃除をした。エロマンガも見えないところに隠した。

 昼食を食べて、しばらく待って、午後1時、毛利さんがやって来た。


 僕は2,3時間もかければ、残っている宿題は終わりそうだ。わからない問題も無さそうだし、毛利さんに尋ねることもおそらくないだろう。

 聞くと、毛利さんは、分からない数学と物理の問題の数問を残しているだけだった。その問題を僕に聞きたいということだった。これぐらいなら、さほど時間もかからずに終わるだろう。


「毛利さんは一昨日のお城巡りは疲れなかった?」


「疲れたよー」


「だよね…。でも、意外に女子のみんな体力があるよね。あのハイキングコース登り切ったし」


「みんなで出かけるのは楽しいから、道中は疲れを感じないのよ、多分」


「お城巡り、楽しいのかい?」


「うん、楽しい」


 そうなんだ。僕なんか疲れるだけだと思っているが。

 2学期からのお城巡り、参加したものかどうかも考えているぐらいなのに。


「毛利さんって、意外にアウトドアもいけるんだね。完全インドア派と思っていたよ」


「でも、出かけるのって、お城巡りぐらいよ」


 などと、のんびり話をしながら宿題を進める。

 毛利さんが分からないという、数学と物理をすこし解説してあげたりして、夕方ごろ、2人の宿題も終わった。

 夏休みの宿題を全部、夏休み最終日前に完了させたのは初めてじゃあないかな。


 僕は大きくため息をついた。

「終わったー」


「終わったね」

 毛利さんも大きく伸びをした。そして、笑顔で話を続ける。

「ねえ、ねえ、“お疲れ様会”しない?」


「え? なにそれ?」


「夏休みの宿題が終わったから、その“お疲れ様会”」


「それ…、どういうの?」


「どこかに遊びに行くの」


「え…?、うーん…、近場なら」


「じゃあ、ナンジャタウンとかどう?」


 ナンジャタウンなら池袋サンシャインシティの中にある。雑司ヶ谷の自宅から徒歩でも行ける距離だ。


「そこでいいよ」


「じゃあ、明日でいい?」


「良いけど、時間は?」


「東池袋駅改札前に1時で良い?」


「OK」


 僕らは約束を決めると、毛利さんは僕の家を後にし、帰路に着いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る