第3話 冒険者ギルド
8時になったので宿屋を出てギルドに向かった。
入り口を開けて中に入ると4m程のカウンターがあり、奥の棚には色々な薬品や書類が並んでいた。
左側には幾つかの扉があり、奥には丸いテーブル2つと椅子が沢山置かれている。
右側には掲示板が有り依頼書が貼り出されいる。
カウンターに近づくと下からひょっこり30代くらいの女性が現れた。
「び、びっくりしたな。もう」
「あら?驚かしちゃった?ごめんね。落とした書類を拾ってたのよ」
「おはよう御座います。冒険者登録に来ました。」
「噂の迷い人さんね?村長から話しは聞いてるわ。私は受付のメアリー。人妻だから惚れちゃダメよ」
「いや、僕はそう言うの興味ないので」
「冗談よ、こう言うのは初心者に対する挨拶みたいな物でリラックスさせてあげてるの。記憶は少しは戻ったの?」
「ええ、ほんの少しだけど思い出しました」
「それじゃこの書類に必要事項を記入してね。字は書ける?」
「どうなんでしょうね?書いてみないと分かりません」
書類には名前、年齢、出身地等の項目がある。
ダイチ・クゼ 15才と書いた。
「すいません。出身地とあるのですが思い出せません…」
「そう、それじゃここのアーリー村でいいわよ。え?本当に15才?とても成人しているようには見えないんだけど。まさかお酒飲めるように偽ってない?」
(す、鋭い)
「ギルバートね!お姉さんピント来たわ。あいつの入れ知恵ね。貴方目が泳いでるもん。クス」
(やばい、保証人居ないから非常にやばい)
「どうせ保証人居ないからそうしたんだろうけど、未成年でも君の場合村長が保証人になってくれるから、どっちでも良かったのよ」
(村長さん良い人過ぎる)
「ただね、成人していると悪い事した時に罪は重くなるし、お酒が飲めるから酔っ払って気が大きくなり間違いも犯し易くなるの!分かる?」
「はぁ何となく分かります。最初はお酒も程々に喧嘩もなるべくしないように心掛けます」
「そう、ならこのままで良いわ。それじゃ次にこのプレートに血を一滴垂らしてね。この針でチクッとやってね」
縦4cm横6cmぐらいの銅板のプレートに針でチクッとやった。
奥でメアリーさんが何やら作業して戻って来た。
「今プレートに皮の紐付けて上げたから、首から下げると無くさないわよ。後はこのプレートを指で掴んで魔力を流し込んでみて」
言われたままに、首から下げ指で掴んでみると〈ピカッ〉て一瞬光を帯びた。
「はい、これで終了。300万ギルね」
「お金掛かるんですか?僕今手持ちないんですが…300万ギルってどの位の金額ですか?」
「そうね、大体私くらいの受付嬢の年収くらいかしら!?」
「そ、そんな馬鹿な話しがありますか?」
「ジャ〜ラン、ジャ〜ラン、ジャジャジャジャ〜ン、罠に嵌ったわね。払えないなら借金奴隷行きよ」
「な、なんてこった、パンナコッタ?村に着いて2日目にして300万の借金抱えた奴隷にされるなんて」
「プークスクス、迷い人なんてこんなもんよ。そのプレートだって冒険者カードでは無くて奴隷者カードよ!良く見てご覧なさい」
え?もう一度プレートをまぢまぢと見てみた。
冒険者 Lv1 ダイチ・クゼ 15才
AV-10100と書いてあるようだ。
「え?冒険者って書いて有りますが…」
「クスクス、冗談よ。貴方みたいな迷い人の冒険者は直ぐに悪い大人に騙されちゃうから、人を疑う事を経験させたのよ」
「もう、びっくりさせないで下さいよ」
「でも貴方みたいに子供のような感じだと騙されちゃうかも知れないから、気を付けなさい。成人しているから良く見ないで書類にサインしたら痛い目に遭う事もあるわよ」
「そうなんですね。色々気を付けます」
「それと登録料は本当は300万じゃなくて3000ギルね!村長から前もってお代は戴いてますから」
(あー村長さん。なんて良い人なんだ。いつか恩返しをせねば)
「それからそのプレートは、入り口の左のドア開けると更新板があり、そこにかざすと自分のステータスが表示されるからね。一回1000ギルだから程々にね。ギルド規約は掲示板の横に書いてあるし規約本買うなら2000ギルよ」
「お金無いし掲示板の横のを読みます。あっ仕事も早く探さないと今日の宿代がやばい」
「仕事ならお勧めがあるわよ。炭焼き職人ヘンリーさんの手伝いが一日4000ギル。近くの雑木林に行って木の伐採と荷運びの手伝いだから初心者でも大丈夫よ。まだ9時前だからヘンリーさんの所に行けば間に合うわ」
「ヘンリーさんのお家は何処ですか?」
「村長の家は分かるわね!ギルドの前の中央通りを進んで村長の家の前を左に曲がった突き当たりよ。炭焼きの大窯があるから直ぐに分かるわ」
って言ってる傍から飛び出してるし、
「クスクス」
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