的当教授の試供

訳が分からなかった。

昨日まで元気だった教授が、ドロドロの液体という変わり果てた姿で見つかったからだ。

あまりにも訳が分からなすぎて、警察からの事情聴取じじょうちょうしゅの内容が全く思い出せない。


大学を休み、今はベッドで寝ているが、全く気が休まらない。何というか金縛かなしばりにあったような気分だ。


ピンポーン!


玄関のインターフォンが鳴る。こんな昼間に誰だろうか?僕は重い足を引きずり、玄関の扉を開けた。


「お届け物です。ハンコかサインをお願いします。」


玄関にいたのは宅急便たっきゅうびんの配達員だった。


「分かりまし…た。」

伝票にハンコを押そうとしたその時、寒気が走った。


差出人さしだしにん


的当まとあて 佳代かよ


これは教授のフルネームだ。

だから、この荷物は死んだ教授が送ってきたという事になる。


配達員を見送り部屋に戻った僕は、机の上に置いた段ボールの箱を、恐る恐る開けた。


箱の中身は、1栄養ドリンクの瓶だった。だが、それは異常だった。その中身が昨日、教授の家の玄関に広がっていた液体その物なのだ。瓶にはラベルが貼ってあったが、

「fije Hdigqshiijsguug swivdu」

これもまた意味不明な事が書かれていた。


これはもしかして、教授だった液体なのか?

それを考える、考えて考えて考える。脳みそをかき混ぜている内に、僕は一つの結論に至った。


「飲めば分かる!」

キャップを開け、コップに液体を注ぐ。

そして一気に喉元へ押し込んだ。


生臭い。ガソリンに腐った魚を漬け込んだような、悪臭が口内を支配した。


だけど、それが心地良かった。

僕は飲んでも飲んでも減らないその液体を心ゆくまで楽しんだ。

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