ちいさな社

この苔むした屋根のちいさなやしろ

ずっと長い間そこにあって

わたしは誰にも言えぬ心の内を

手を合わせながら

いつも聞いていただいてきた


手を合わせたまま

ただ何を思うでもなく目を閉じて

風の音や木々のざわめきに

耳を傾ける時間ときもあり

それは不思議と心安らぐものだった


何かを求める気持ちが強くなれば

いつしか見返りが欲しくなる

無心でいようとすることの難しさ

俗にまみれた自分を思い知りながら

わたしは、ひとり手を合わせる


ちいさなやしろのカミサマは

時代ときの流れの中

今日も静かにそこに存在

そこに存在ってくださるだけで

わたしは安心する


そして、その前に立って手を合わせる

ちいさなちいさな、わたしという生命いのち



鳥がさえずっている


答えはいらない

ただ、そこにいてくださるだけでいいのです




いつも、ありがとうございます

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