掌
「
だから、不安になった人がいたら
手を握ってあげなさい」
卒業式の日、そんなふうに教えてくれたのは
中学の担任の先生だっただろうか
先生の顔は忘れてしまったのに
(センセイすみません)
その話だけは、ずっと覚えている
本当にそうなのかなぁと
自分の右手と左手を
合わせてみたことがある
不思議だけど確かに
温もりに安心できるような気がした
人間の身体の内側は弱くて柔らかい
だからなんだよと
これもその時に聞いた言葉、納得
夫の手を握り
母の手を握り
父の手を握って
見送ってきたけれど
少しは安心して貰えただろうか
そんなことを
ふと、考える
わたしも最期には
目を瞑れたらいいな、と思う
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