二十年

久しぶりに思い立って

あのひとの持っていた沢山の画集を

引っ張り出して整理しながら

ページっては手が止まる

そういえば

この画家の、この絵が好きだった

古い画集は思いがけなく

昔の記憶も呼び覚ます



十年間共に暮らして

逝ってしまってから二十年

暮らしていた年月よりも

いつしか長くなりました


あなたよりも

随分と歳上になったわたしは

シミもシワも増えてしまって

よっこらしょなんて言ってます


今は病と二人連れ

それでもね

こうして生きていることを

有難いなと思います


あなたの分まで往けるとこまで

そう思いつつ腰さすり

アイタタタと苦笑い

画集の整理を続けます


長いようで、あっという間の二十年


またお盆がやってきます


おかえりなさい、と言いましょうね

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