留守番電話

留守番電話に残る貴女の声を

いまだに消せずにいる、わたしです


もう貴女を見送ってから

何年も過ぎたというのに

電話の中の貴女は

ずっと若々しいままで


「もしもーし、留守なの?

帰ったら電話ちょうだいね」


お母さん、明るい声が

まだ貴女が

電話の向こうにいるかのようで

わたしは貴女の笑顔を想いだすのです


留守番電話に残る貴女の声を

わたしはずっと消さずにいます


どうしても心折れそうな夜には

こっそり貴女の声を聞いて

どうか力を貸してね、と

呟いて甘えるのです


貴女ならきっと

どうしたの? しょうがないねぇ、と

大丈夫だよ、とゆるしてくれると思うから


ねぇ、お母さん

お母さん



幾つになっても


……こんな心弱い娘でも。

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