傘などないのに

どれだけ雨に濡れようと

何を今更

傘などは

とうに失くしてしまったものを


どんな土砂降り嵐の日でも

こうして歩いてきたものを



すれ違った

ひとつの傘の二人連れ

寄り添い譲り合う

お互いの肩濡らしつつ


わたしは見とれて立ち止まる

振り向き見とれて立ち尽くす



どれだけ雨に濡れようと

何を今更

傘などは

とうに失くしてしまったものを


雨の日は濡れるもの

そうして生きてきたものを



傘などないのに

傘などないのに


何を今更


俯く頬から滴が落ちる



雨はまだ、止みそうにない

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