【詩集】満月音匣

つきの

満月音匣

まんまるまあるい満月に

夜空を眺めておりました。

てのひらに置いた音匣オルゴール

小さなハンドルそっと回せば

聴こえてくるのは「月の砂漠」


ぽろりぽろりとこぼれるメロディ

つぶやくように歌います

途切れ途切れに歌います

あなたを想って歌います

聴くひとのない、この夜に


広い砂漠をひとすじに

二人はどこへゆくのでしょう


広いこの世の迷い道

わたしはどこへゆくのでしょう

あなたはどこへゆくのでしょう


囁くように音匣オルゴール

聴いているのかいないのか

まんまるまあるい満月は


ただ柔らかな明かりのままで


黙って

そこにあるばかり

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