【最弱職業の使い魔士】俺はギルドパーティーから追放されて五年経過したが封じていた右手の力を解き放ちサッキュッパス生産系ティマー士となったので元ギルメンを健全な方法で復讐します
速水すい
第一部序章第一節旅立つ少年使い魔
追放された"使い魔" の少年
時は牙狼百二年、小さな村で夫婦は
小さな少年を授かりました。
明るく元気な少年はすくすくと育ち、二歳の頃父から譲り受けた天職…
使い魔士…そう、ティマーは職業としては最弱でギルドから雑用扱い。
そんな役職を、少年は誇りに思っていた…あの事件があるまでは―――。
それから三年後のある日。
ある王国は戦地化となり戦の灯り火が、街並みを焦がしていた。
衝突音が戦場に馳せてる。
斬撃や鉄の衝突、砲撃の爆破音などが入りまじる城内で少年は…走って戦地で戦っていた。
「はぁはぁっ…これで終わりだ!」
「ぐぁぁぁぁ…!」
少年が振り下ろした斬撃は、敵の兵士を切り裂いて倒した。
この頃、使い魔士《ティマー》としての力は使って無かった。
いや、的確には…封印していたのだ。
騎士団の軍も動いて、もはや連合軍となった少年のギルドはこの騒動を起こした"問題ギルド"のある宿舎へと急いでいた。
それは…彼を追放したギルド。
場所は王国の人気がない場所で、騎士団と共にその場所を目指して走る。
「少年、この先であってるのか?」
「うん、この道を直線にあるよ」
「よし! 皆の者行くぞ! 我に続け―――!!」
ギルドの青年が号令を言い放つの同時に、付いてきた兵士達は無言で青年の後を付いて行く。少年はふと空を見上げた、少女が高らかと飛び上がり杖を天に翳した。
「少年どうした!?」
「…あれを見て」
少年は指を空に向けて指し示した、上空にいる少女に指を向けていた。
青年は、その少女を見るなり動きを止めた。
「むっ? あれは―――」
少女の杖から怪しい光を放つ―――。
「まずい、このままだとみんな死んでしまう」
「少年、あれはなんだ? かなりやばそうだが」
「とにかく退避してください、じゃないと死にますよ!!」
「無茶を言うな少年、ここまで来て奴らを捕えなかったら君の気持ちが晴れないだろ?」
「そうですが、流石に
「…少年、一度決めたからには二度は背を向けられない。それが"戦士"と言うものだ、兵士は引かせないが―――」
あの魔法は、確か"拡散型破裂魔法"と言い分散して最後に巨大な爆発を落とす飛んでもない"上位魔法"なのだ。それを知ってこそ、少年は訴えたのだ。
パキッ、パキッパキッ―――。
しかしだ、ある一人の元ギルドメンバーの唯一の"剣聖"と呼ばれた伊達メガネをした青年が燃え盛る火の中からその姿を現して不気味な笑みで現れたのだ。
「おいおい、計算狂わせもいい所だ。"用済み"がなぜこの場所にいるんだ?」
「お前は…!」
「……」
剣聖の青年は、騎士団の青年の方を向き軽く一礼してからこう話し出す。
「おや、騎士団の団長様ですか…。よくぞ生きてました、褒めてあげたいところだが…そうもいかないですね?」
「あぁ、話す前から俺は君が嫌いだ。それにこの少年を"用済み"なんて呼ばれる筋合いはない」
「手厳しいですね、雑魚を"用済み"扱いにするな。なんて大義名分にしちゃかなりの"仲間思い"なんですね?」
「
「ふん、君を仲間に引き入り所が…殺したくなりましたね。一戦やりますか」
「生憎、君らのような奴らと相手してる暇がないが―――いいだろう」
騎士団の青年と元ギルドメンバーの戦いが始まり、少年は生唾を飲んで見守る最中―――
上空にいる少女から放たれた巨大な魔法陣が現れ、拡散型魔法を放ち周りの建物や城壁をぶち壊し更に地面を破壊する。
それからまもなく、激しい閃光が放たれ視界が一瞬に奪われた。
「うっ…」
少年は目を覚ました、どれくらい時間が経過したのだろうか? 路上で意識を失っていたらしい。
目の前には大きく陥没した穴、魔法によるものだろう。
意識がやや朦朧とする最中で、僕は立ち上がり自分が出にしてる剣を手に取る。
「みんなは…?」
焼け焦がれた兵士は、路頭に転がり、壁に背もたれして絶命している。
「団長…どこだ…?」
団長の姿がなく、地面に突き刺さっている剣が物語る様に刃が光る。
団長は死んだか分からないが、ようやく意識がもどり僕は力なく歩く。
「くそ……兵士は死んだのか…」
こうなる前、少年は別のギルドに所属していた。ほんの"用済み"と言われてから一週間。
思い返せば、そのギルドでは当然最年少で、ギルドメンバーは暖かく迎え入れてくれた。
それからまだ半年、今の光景が実態となると胸が苦しくなる。
兵士の死、逃げ回る市民は元ギルドメンバーにより殺害。そう、これは"僕"を追放してから"一週間後"の出来事なのだ。
街には火の魔法が放たれ、メラメラと燃え上がる光景―――焼き焦がれた建造物は力なく崩れ散る。
奥歯を擦らせる、憎い感情が込み上げた。
記憶を辿れば"使い魔"でありながら魔法使いという地味な"職業"だからと言う理由だ。
当然ギルド所属勇者は、鼻で笑い、ギルドメンバーだった少女達はクスクスと笑う。
そりゃそうさ、最強の職業が集うギルド。
少年はその点"使い魔"で魔法使いと言う微妙なポジションだからだ。
当然ギルドリーダーは、弱いから用済みっと言われて祝福する意味でギルド室内は嘲笑いだけが響いていた。
結果的に"騎士団を壊滅させてこの街を手にする"って馬鹿げた計画を考えていたんだ。
孤独で除け者にされた少年は、あらゆる手段で魔法の使い方から武器の使い方まで覚えた。
けど―――。
こんな街の状況で、何一つ役に立つ魔法とかって無かったんだよ。
悲鳴だけ響いてさ、僕の気持ちは黒さが増していくばかりでさ。
こんな悲惨な状態で、僕に何ができるか。
今考えたら武器に魔法を込めるとブーメラン見たくなるオリジナル魔法まで覚えたが、こらしめたい元ギルドメンバーが全然見つかんなくて、復讐の文字すらない。
唯一良かったのは、僕の強さを見抜いた騎士団直属のギルドに拾われたぐらいだ。
燃える建物の見上げて、空を見上げた。
暗い、完全に夜なのに火で赤みがある。
少年は元ギルドメンバーを、探す為に走った。
転がる死体を飛び越え、燃えて塞がる木材を魔法を込めた剣を投げて両断。
突き刺さった剣を引き抜き、さらに走る。
向かった先は、傷一つないギルド宿舎だ。
指で触ると、波紋が起きる。どうやら魔法で火の燃え移りを、防いでいるようだ。
「悪いが、切らせてもらうよ」
少年は剣を力を込めて投げ飛ばしたが、苛立ちのせいか。いつも以上に力を込め過ぎてギルド宿舎を真っ二つにした。
苦笑いした、誰かが来るかと思った。
けど、誰一人ギルド宿舎から顔を出さない。
「変すぎて気になる…」
逆に不安になり、ギルド宿舎の中に入る。
目に移る姿に僕は、騒然とした眼差しでその光景を見た。
「…これは?!」
元ギルドメンバー達は、殆ど何者かによって殺害されていた。
切れ味や、的確な殺し方からしたら、
一体誰が何のために―――?
ギシッ―――。
少年は後ろを振り返った刹那、頬を掠れて一本の刀が背後の柱に突き刺さる。
「君は…?」
「"元ギルドメンバー"でしょ?」
「訊く前に聞き返しってなんだよ」
「いいから答えて、あんた"元ギルドメンバー"なんでしょ? このカス達のさ」
「あぁ。でも何故それを知ってるんだ…?」
「私もよ、知ってるも何もあんたの名前は有名よ。それを気に食わなかったんでしょうね?まぁ、バカの発想は未知領域だから私は知らないけど」
「…それで殺したのか?
「うん、憎いからメタメタのぐちゃぐちゃにしたくて…殺っちゃった。一足遅かったわね」
こんな子、元ギルドメンバーにいたのか? って少年は思った。声からして女の子だ。
黒いフードを深く被り、表情が分からない。
けど、右頬に剣で切られた様な跡がある。
「私をジロジロ見て、あんたさ…こんな奴らを"慰める"とか言わないわよね?」
「そんなこと思うわけないさ、正直いってこの死に様は…ざまぁって思う」
「でしょうね。用済みって言われたから、復讐の意味でこの刀で貫いたんだ」
「……」
「そしたらさ、ぎゃあぎゃあ喚く嘆くし…。私の性癖を擽り過ぎて面白かった、お前たちが弱いって用済みってさぁ。どんだけふざけてんだよ!!」
柱に刺さった刀を引き抜き、息絶えた死体に突き刺した、何度も、何度も―――。
少女の憎しみは、理不尽によって切り捨てられた恨みだ。
少年は耐え難くなり、素直に外に出る。
人の気配がない、ただただ燃える建物の火は
消える事が無い、追放された存在の"感傷"を表すかのように。
「……」
「大丈夫?」
「うん、スッキリしたはずなのに…。どことなくやっぱり悲しいわ」
「僕もだよ」
「この街はどうなるの?」
「さぁな、ただ…僕達はこのままいたらかなりまずい」
「そう、お別れね」
「あぁ、またどっかで会えるはずだから――」
少年は手に持つ剣を少女に手渡した。
「これって、騎士団の剣…?」
「うん、与える人が限られてる特殊な武器。それを君に預けとく」
「え?」
「またどっかで会えたら、その時に返して」
「う、うん…」
「じゃまたね」
少年は一目散にお城の出口まで走った。
少女は、呼び止めるにも走りさる少年の姿をただただ眺めて呟いた。
「あっ…行っちゃった。
それから月日が流れて――――。
少年は木陰で、本を開き字を読む。
隣町から鐘の音が鳴り響く、お昼の知らせである。
あの日から、五年か…後悔なくして時の刻みは早いな。
見上げた空は青く、優しい陽射しが顔を照らし…目線を落とすと隣に居る少女はにかんでいる。
少女と出会って僕の運命を動いたんだ。出会いは幼少期でウルフに、襲われていたところを少年が助けたんだ。
そのお礼に"おまじない"として右手に刻まれたドラゴンの刻印、これが意味することは不明だけど――。
向かい風がやさしくふき、膝上にあった本のページがパラパラとめくれた。
僕は何故か最強の"サッキュッパス"使い魔になってました。
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