先生

 「すいません…思い出せなくて」

「いえ、致し方ありません」


本当に申し訳ない。

15歳の小柄な少年は、私のことを「先生」と呼ぶ。

彼によると、事故に遭う前の私は小説家だったらしい。

しかし、自分が書いたという作品を観ても何とも思わなかった。

思い出せないんだ。


『神影さん、星が綺麗ですよ』

『神影さん、遅くまでお疲れ様』


誰が言ったのだろう。

神影かみかげ」という名、17歳の高校生であること。それだけは知っている。


親友を失ったような切ない感じ。これは何ですか。

隣にいる少年は、どこかの誰かに似ている。

君は誰?

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