第84話疲れた心
ルーカスがバーンズの供述書をまとめていると…
「お疲れ様でーす」
ラキが明るく部屋に入ってきた。
「終わったのか?」
ルーカスは下を向いていた顔をあげた。
「はい!バッチリッス!リナちゃんと同じ鞭打ちの刑にしましたよ!途中何度も気を失ったけど叩き起してやりました。あいつ自分がどんな事をしてきたかこれでようやくわかったんじゃないスっか?最後の方になって謝罪らしき言葉が出ましたから」
「そうか」
ルーカスはほっと安堵のため息をもらした。
「コレでもうリナちゃんやアリスちゃんに何かする事はないですよ…って言うか#出来ない__・__#が正しいですかね」
「ラキ、ありがとうな」
「いえ!別にルーカスさんの為じゃないですから!俺だってリナちゃんやアリスちゃん可愛いって思ってますからね」
「なに…」
ボキッ!
ルーカスはラキの発言に手に持っていたペンを握り壊した。
「ちょ!ちょっと!普通に知り合い…友達や妹としてですよ!」
ラキは慌てて弁解をする。
「ならいいが…まぁあの二人が可愛いのは確かだもんな」
ルーカスは壊れたペンを捨てると新しいペンを取り出した。
続いて団長とシモンも戻ってくると…
「ルーカス、供述書はまとめてくれたか?」
「はい!」
ルーカスはブライアン団長に書類を渡す。
「よし、じゃ皆を集めてくれ。これからバーンズの供述を頼りに売られた子供の救出に向かう一人でも多くの被害者を助けるんだ」
ブライアン団長の指示により、ルーカス班、シモン班、副団長のセドナ班に別れて捜索に向かう事となった…
✱
捜索の結果…まだ生きてる子もいたがその扱いは酷いもので、あの時のアリスのように目に光が灯っていなかった…
しかし生きているだけでも良かったのかもしれない…中にはもう既に亡くなっている子や行方不明の子もいた。
決していい結果では無かったことに騎士達の顔は曇っていた。
「皆、よくやってくれた…全てとはいかないが助けられた命もある…償いはあの男に必ずさせよう」
「子供達は一度医師たちに見せてその後意見を聞いてどうするか決めよう…今日は皆疲れたと思うからゆっくりと休んでくれ」
ブライアン団長の言葉に騎士達は頷くと言葉少なく帰路についた。
ルーカスも心が晴れない気持ちのままブライアン団長のそばに歩み寄る。
「リナとアリスに…会いたいです」
「そうだな…先に屋敷に行っててくれ。私はまだ少しやる事があるからな」
ブライアン団長がルーカスの肩を叩く。
「俺も手伝います」
「では怪我のなかった子供を修道院に連れて行ってやってくれるか?」
「修道院…リナのいたところですか?」
ルーカスはあの優しそうなシスターの顔を思い出す。
「ああ、彼女がもう身寄りのないあの子達を引き取ってくださる…」
「わかりました、無事送り届けます」
ルーカスは子供が保護されている部屋に向かうと副団長のセドナさんが居た。
「副団長、俺がその子達を修道院まで連れていきます」
部屋を見渡すと壁に寄りかかるように数名の女の子が生気のない顔で立っていた。
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