第55話アリス
「さぁアリス、今日からここか君のお家だ。あそこより広くて綺麗だろ?何が欲しい?なんでも好きな物を言いなさい」
バーンズはアリスを隣に座らせてニッコリと笑った。
アリスは馬車から外を見ると大きくて冷たい感じの屋敷が見えた。
「んー!」
ヤダヤダと首をふる。
アリスは優しいリナやルーカスに会いたくなった。
「おや、侯爵令嬢になる子がこんなわがままなのかな?」
バーンズ侯爵に頭を撫でられて背筋がゾクッとした。
リナやルーカスが触ってくれる感じと全然違う!
アリスはバシッとバーンズの手を振り払った。
「生意気な子は嫌いじゃないけど…大人しく言う事を聞く子はもっと好きだなぁ~」
ニタニタと笑う顔に気持ちが悪くなる。
アリスはバーンズ侯爵から離れた。
「そんな態度でいいのかなぁ~さっきいたあの女の人がどうなってもいいのかな?」
バーンズが笑いながらアリスに聞いた。
あの女の人…
そう聞いてアリスはリナの笑顔が浮かんだ。
「あの女、侯爵である私にあんな口の聞き方をして…この事を報告したらきっと罰を受けるだろうね…」
バーンズ侯爵は意味ありげな顔でアリスを見つめた。
罰…
そう聞いてリナが鞭で打たれた時の事を思い出す…あの背中のキズ…やっと痛みが引いて傷も目立たなくなってきたのに…
アリスの顔が悲しみに染まった。
「アリスがいい子にしてたら私もそんな酷い事はしないよ?どうかな?いい子に出来るかい?」
アリスはバーンズの顔を見つめると、コクン…と頷いた。
「よし、いい子だ。さぁこっちにおいで」
バーンズが両手を差し出してくる。
アリスは手を差し出してその手を掴んだ…
「よく出来ました。これからは私を父だと思っていいんだよ」
そう言ってアリスを抱き上げるとすぐ隣に座らせた。
アリスは大人しくこの男の言う通りにしようと思った…それがリナの為になるのだと信じていた。
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