第46話香り
リナ達に挨拶をして、一人寂しく帰路に着く…
いつもなら明るく照らしてくれる部屋は暗く…なんだか冷たく感じた。
「ただいま…って誰も居ないか…」
つい声をかけるがいつもなら抱きついて出迎えてくれるアリスも居なければ、「おかえりなさい」と笑顔で迎えるリナも居ない。
二人が来る前は一人で何とも思っていなかったこの家が…あの二人の温もりを一度味わってしまっていると心にぽっかりと穴が空いたような気持ちだった。
する事も無いので早速リナから貰っていた夕食をありがたく一人で食べる。
いつもの味に心の穴が少しだけ埋まる気がした。
寂しい一人の食事はあっという間に終わる。
前は一人の時は何をしていたのか…手持ち無沙汰でため息が漏れた。
今夜はもう寝よう…
早々に横になろうと着替えてベッドに横になる…すると…
フワッ…
ベッドのからリナとアリスの香りがした。
昨日二人が寝ていて香りが移ったのか…お日様のような優しい匂い。
ルーカスはクスッと笑うと二人を感じながら幸せに眠りについた。
朝目覚めると…ベッドから起き上がり部屋を出る、そして誰もいないリビングを見つめた。
そうかリナ達は居ないんだな
ガックリとして肩を落とすが、
「よし!早く支度をして訓練所に向かおう!」
簡単に飯を済ませてルーカスはいつもより早く家を飛び出して行った!
✱
リナ達はルーカスさんを見送ると先生がたまに寝泊まりする部屋を借りる事になり、案内されていた。
「ここの部屋を好きに使っていいよ、僕は隣の診察室のベッドで寝るからね」
先生がそういうと
「先生の腰の方が…先生がこちらの方がいいのでは?」
「いや、この部屋は診察室を通らないと行けない作りになってるからね。いくらここが騎士団の訓練所でも夜は警備も居ないから…まぁここに忍び込む輩なんていないがね。一応念の為だよ」
「でも…」
「いいから言うことを聞きなさい。君達に何かあったら私の命の方が危なくなりそうだからね」
「まさか」
リナが笑うが先生は半分は本気で言っていた。
リナ達が借りた部屋にはシンプルな部屋でベッドと机があるだけ…リナが先程ルーカスの為に作った料理を先生とアリスちゃんにも用意する。
「傷は大丈夫かい?あんまり無理しないように…」
先生が声をかけるので頷きあまり動かないように気をつけた。
アリスちゃんがよく手伝ってくれるのでサッと用意をすませる。
「すみません…簡単な物ですが」
「いや、十分だよ。ではいただきます」
「いただきます」
「いー…」
アリスちゃんも挨拶をしようと少し声を出した。
「ん、アリスちゃんもちゃんと言えて偉いね」
いい子と頭を撫でてあげる。
「料理が終わったら少し先生と声を出す練習をしようか?」
先生が笑ってアリスちゃんをみるとアリスちゃんはウンウンと頷いて急いでご飯をかき込んでいた。
「そんなに慌てると喉に詰まっちゃうよ」
笑って背中をさすると、今度はゆっくりと食べだした。
素直なアリスちゃんに先生と笑いながら食事をすませる…楽しい食事だが…でもなんか少し物足りなさを感じていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます