第44話閑話 騎士達の会話
「うわっ!」
訓練中の不注意でラキは手を負傷した。
見れば腕が赤く腫れ上がっている…
「すまん!」
打ち合っていた仲間がラキに駆け寄ると、傷の具合を確認する。
「こりゃ酷いな…医務室に行ってこいよ」
周りの仲間達からもそう言われてラキは剣を置くと医務室へと向かった。
「先生~すみませんが傷の手当てを…」
ラキは医務室に入ると…
「あっラキさん、怪我ですか?見せて下さい」
そこには白衣を羽織った、リナちゃんが心配そうにこちらを見ていた。
「え?リナちゃん?なんでここに?しかも白衣!」
「はい、先生がぎっくり腰で少しお手伝いをさせて頂いてます。ラキさんはどうされました?」
「えっと…訓練中にちょっと…」
そう言って腫れた腕を見せる。
「うわっ…痛そうです、先生どうしましょうか?」
「とりあえずそれで冷やして後は薬を塗っておけば大丈夫、骨に異常は無さそうだな」
先生が怪我した腕を見てリナちゃんにそう言うと…
「じゃあ失礼しますね」
リナちゃんが優しく腕を掴むと腫れた箇所を冷やしてくれた。
「騎士様達は毎日大変ですね…訓練でもこんなに怪我をするなんて…」
心配そうに見つめられる。
「そんな事ないよ」
なんだか握られている手が温かくて体がムズムズしだした。
「アリスちゃん、ラキさんの腕に薬を塗ってくれる?」
リナちゃんが声をかけるとこれまたエプロンをした可愛い姿のアリスちゃんがそっと傷に薬を塗ってくれる。
「アリスちゃんもお手伝いかい?偉いなぁ~」
怪我をしていない手でアリスちゃんの頭を撫でてあげると頬を染めて嬉しそうに笑った。
か、可愛い…
子供と触れ合う機会などなかなかないが…ルーカスさんが可愛がる気持ちがよくわかる。
「はい、手当て出来ました。でも無理なさらないで下さいね」
最後に包帯を巻いてリナちゃんがそっと怪我した場所を撫でてくれる。
「あ、ありがとう!」
今まで怪我をして、こんなにも心配された事なんてなかったラキは感激してお礼を言って訓練所へと戻った。
包帯をニコニコと見つめながら帰ってくると…
「お前…顔がにやけてるぞ、頭も打ったのか?」
怪我を見て笑うラキをみて仲間が怪訝な顔をする。
「いや…医務室にリナちゃんとアリスちゃんがいて先生の代わりに手当てしてくれたんだ…すんげぇ優しくて丁寧で…怪我してラッキーだったよ」
「何!?リナちゃん達が手当て!?」
「それ本当か!?」
「ああ、先生が動けないらしくて手伝っているって言ってたぞ」
「「「………」」」
それを聞いた仲間達が顔を見合わせた。
「あっ!あいたたた…そういえばさっき擦りむいたところが…俺もちょっと医務室に…」
「そう言えば俺も…」
そう言うとゾロゾロと医務室に向かいだした。
「まぁ…気持ちはわかる。俺ももう少し訓練して…また怪我しちゃったら行かなくちゃ!!」
ラキは木刀を手に持ち急いで訓練を開始した!
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