第11話契約

「えっと…これは何ヶ月分のお給金になりますか?」


「1ヶ月分だが?あっ!もちろん他の経費は別にはらうぞ」


「ルーカスさん…何考えてるんですか?」


私は呆れてルーカスさんを見つめた。


「す、すまない!少なかったか?いや…相場がわからないので自分の給金を基準にしたんだが…」


ルーカスさんが金額をさらにあげようとするので慌てて止めた。


「待ってください、これでは多すぎます!その分アリスちゃんになにか買ってあげて下さい!そうですね…家政婦としてで住み込みですから…アリスちゃんの世話を入れてもこの三分の一で十分だと思います」


「そ、そんなものでいいのか!?」


「はい、十分です。むしろ多いくらいです。この金額なら私のような素人でなくちゃんとした人を雇えますよ…」


私は伺うように聞いた。


この金額なら他所で危険な仕事をする程度の金額を貰える。


もう少し減らされても構わないくらいだ。


それにちゃんとした専門の人だって平気で雇えそうだ。


「いや、アリスの事を考えたら君にお願いしたい、だからこの金額で頼む」


ルーカスさんが金額を書き直して提示した。


先程の三分の一より少し上乗せされて…


「いいんですか?」


逆にこちらが伺ってしまう。


「とりあえず1ヶ月これで、それで納得出来なければまた話し合うと言うことでどうだろうか?」


「は、はい!私は全然構いません!きっちりお給金分、お仕事頑張ります」


私は立ち上がってルーカスさんに頭を下げた。


「頼む、じゃあ早速任せていいかな?ちょっとこれから職場に行ってきたいのだが」


「もちろんです!お仕事頑張って下さい。私は早速家の事をさせていただきます。何か注意する事ありますか?触って欲しくないものや見て欲しくない場所など…」


「そうだな…あっ!あの…すまないが…そのアレは…」


ルーカスさんが気まずそうに服をしまった場所をチラッと見た。


ああ、あそこに下着類を詰め込んで置いたのを見たのだろう。


「別に洗っても構いませんがルーカスさんが嫌なら触りません。どうしますか?」


「……なら別にしておいてくれ、さすがに申し訳ない…」


気にしないのに…


「わかりました、他にも気がついたことがあれば何時でも言ってくださいね」


「わかった。じゃあアリス、行ってくるな」


ルーカスさんがアリスちゃんの頭を撫でた…その大きな手はアリスちゃんの頭をすっぽりと覆う。


アリスちゃんは少しだけ寂しそうに頷いた。


アリスちゃんと二人でルーカスさんが行くのを見送ると…


「よし!アリスちゃん部屋は明日本格的に掃除するからとりあえずお買い物かな!ルーカスさんにお金もらったし…今日は私達の出会いのお祝いで豪勢にしちゃおう!」


「!!」


アリスちゃんの寂しそうな顔が一瞬で明るくなった!


「アリスちゃんならルーカスさんが好きな食べ物わかるかな?それとアリスちゃんが好きな物も教えて欲しいな!」


私が手を差し出すとアリスちゃんがその手を見つめる。


「だから一緒に買い物行って教えてね」


アリスちゃんは嬉しそう頷くとその手をギュッと掴んだ。

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